MENU

航海の必需品!天の南極の傍で輝く南極星を持つ星座はちぶんぎ座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

はちぶんぎ座は、日本からは全く見ることのできない南天の星座のひとつです。フランスの天文学者ラカイユによって、1760年代に作られました。

はちぶんぎ座の「はちぶんぎ」を漢字で書くと、「八分儀」となります。八分儀とは、星々の高さや距離を測るための道具で、1730年ごろに発明されてから19世紀まで船乗りたちの間で広く利用されていました。

はちぶんぎ座は4等星以下の暗い星で構成されているので、見つけるのは難しいかもしれません。

はちぶんぎ座の基礎情報

星座の名前 はちぶんぎ(八分儀)
学名/読み方 Octans/オクタンス
略符 Oct
面積(順位) 291平方度(50位)
作ったひと ニコラ・ルイ・ド・ラカーィユ
おすすめの
観測時期
秋/10月上旬(南天)
20時南中 10月2日
隣り合った星座 インディアン座
カメレオン座
きょしちょう座
くじゃく座
テーブルさん座
ふうちょう座
みずへび座

はちぶんぎ座の概要

はちぶんぎ座の特徴

4等星以下の暗い星々のみで構成されているはちぶんぎ座は、決して目立つ星座ではありません。

星座の形も、シンプルな細長い三角形です。しかしこの三角形は、八分儀の形を表しているように見えなくもありません。

はちぶんぎ座の見つけ方

残念なことに、はちぶんぎ座を日本の空で見ることは不可能です

南天の星座であるはちぶんぎ座を観測するには、南半球の国々を訪ねましょう。南半球では、1年を通していつでもはちぶんぎ座が見えますので、旅行する季節にも制限はありません。

はちぶんぎ座の位置は、ケンタウルス座とエリダヌス座の1等星たちがガイドしてくれます。ケンタウルス座の足先に輝くα星(リゲル・ケンタウルス/アルファ・ケンタウリ)とβ星(ハダル)、そしてエリダヌス座のα星(アケルナル)の中間辺りに見える細長い三角形が、はちぶんぎ座です。

はちぶんぎ座の見つけ方

光の暗いはちぶんぎ座自体は、星図を見ながらでないとなかなか見つけることは難しいかもしれません。しかし、目印となる3つの明るい1等星は、すぐに見つけられることでしょう。

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

はちぶんぎ座の見どころ

はちぶんぎ座σ星(シグマ星) ポラリス・アウストラリス

はちぶんぎ座σ星(シグマ星)は、「ポラリス・アウストラリス」という名を持っています。「ポラリス・アウストラリス」を日本語に訳すと、「南のポラリス」。

ポラリスとは、こぐま座の2等星のことであり、現在の北極星です。つまり、「ポラリス・アウストラリス」は、「南極星」を意味する呼び名なのです

はちぶんぎ座σ星 は、天の南極のすぐそばに位置しているため、「南極星」として扱われています。しかし、 華やかな2等星の北極星に対して、はちぶんぎ座σ星の明るさは5.47等級です。

肉眼でも何とか見ることのできるはちぶんぎ座σ星ですが、「天の南極」の目印とするには暗すぎて、やや力不足と言わざるを得ません。

はちぶんぎ座λ星(ラムダ星)

はちぶんぎ座λ星(ラムダ星)は、ふたつの星から構成されている二重星です。

はちぶんぎ座λ星の主星は5.4等級、伴星は7.2等級と、いずれも明るい星ではありません。ふたつの星は、非常に距離が近いという特徴もあります。

はちぶんぎ座λ星 の星々を分離するには、小型の望遠鏡(口径7.5cm前後)を覗いてみましょう。

はちぶんぎ座の神話・伝説

はちぶんぎ座にまつわる神話・伝説はありません。

はちぶんぎ座は18世紀にフランスの天文学者ラカイユが作った星座のひとつです。

八分儀とは、星の高さや距離を測り、緯度・経度を知るために用いられた航海用具です。中心角が45度(360度の8分の1)の扇形をしていることから、八分儀と名付けられました。

1730年ごろにイギリスのジョン・ハドレーが八分儀を発明したあとすぐに、八分儀をもとにして、より広い角度を測れる六分儀が開発されました。性能は六分儀に劣った八分儀ですが、六分儀より安かったため、六分儀と併用する形で19世紀に至るまで使われ続けたのです。

ちなみに、六分儀も八分儀と同じように18世紀に星座になりました。ただし、ろくぶんぎ座を作ったのはラカイユではなく、ポーランドの天文学者ヘベリウスです。

左が八分儀(ハドレー四分儀)、右が六分儀。八分儀は90度までしか角度を測れないが、六分儀は120度まで測れる。

おわりに

はちぶんぎ座は、南半球の国々の空でのみ輝いています。光が弱く、目立たないはちぶんぎ座のためだけに、わざわざ遠い国まで旅行に行く人は多くはないでしょう。

しかし、天文ファンの中には、みなみじゅうじ座などの主役級の星座を求めて、海外に出かける方々は少なくありません。その際にはぜひ、船乗りたちが愛用した八分儀の姿も、夜空に探してみてください。

Special Thanks

「はちぶんぎ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.145-178, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.226, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
この記事をシェアする
arrow_upwardPAGE TOP