テーブルさん座はテーブル山がモデル。天文ファン憧れの山!テーブルさん座
テーブルさん座は、日本の空では全く見ることのできない南天の星座です。
「テーブルさん」は「テーブル山」を意味しています。テーブル山は、ギリシア神話に登場する架空の山……ではありません。南アフリカのケープタウンに、実際に存在する山なのです。
「テーブル」という個性的な名は、山の頂上がテーブルのように真っ平に見えることから付けられました。
テーブルさん座を作ったのは、フランスの天文学者であるラカイユ(ラカーユ)です。ラカイユは、星々の観測と研究のためにケープタウンに長期滞在した経験から、毎日見上げていたテーブル山を星座として設定したと伝わっています。
ちなみに、日本では1944年頃まで、テーブルさん座のことを「メンサ座」と呼んでいました。この呼び名は、テーブルさん座の学名である「Mensa(メンサ。テーブルを意味するラテン語)」が由来となっています。
テーブルさん座の基礎情報
星座の名前 | テーブルさん(テーブル山) |
---|---|
学名/読み方 | Mensa/メンサ |
略符 | Men |
面積(順位) | 153平方度(75位) |
作ったひと | ニコラ・ルイ・ド・ラカーィユ |
おすすめの 観測時期 |
冬/2月上旬(南天) |
20時南中 | 2月10日 |
隣り合った星座 |
かじき座 カメレオン座 とびうお座 はちぶんぎ座 みずへび座 |
テーブルさん座の概要
テーブルさん座の特徴
テーブルさん座は、全天一暗い星座として知られています。
テーブルさん座の中で最も明るい恒星のα(アルファ)星であっても、その等級は5.09です。α星以外の星々の光はさらに淡く、固有名を持つ星も存在しません。
その暗さから、星がよく見える場所からでも確認しづらいテーブルさん座。しかし、台形を中央から軽く折り曲げたような星の並びは、頂上が平らというテーブル山の特徴を捉えています。
テーブルさん座の見つけ方
南天の星座であるテーブルさん座は、日本からは一切見えません。南天の星座の中には、鹿児島県や沖縄県の空であればなんとか観測できる星座も少なくありませんが、テーブルさん座は星座の一部さえも見ることはできないでしょう。
テーブルさん座は、オーストラリアやニュージーランドなど、南半球の国々まで出かけることで、やっと観察できる星座なのです。
テーブルさん座を見つける際に大きな目印となってくれる天体が、大マゼラン雲(大マゼラン銀河)です。大マゼラン雲は、かじき座の長いアゴの真下辺りに輝く、非常に美しい銀河です。肉眼でも白っぽい雲のように見えますので、大マゼラン雲を見つけることは簡単でしょう。
この大マゼラン雲からやや南の方角に、テーブルさん座は位置しています。また、テーブルさん座の両脇には、とびうお座とみずへび座もありますので、参考にしてみてください。
前述の通り、テーブルさん座はとても暗い星座です。たとえ南半球の空が澄んだ場所であっても、テーブルさん座はなかなか見つからないかもしれません。
星図などを頼りに根気よく、平仮名の「へ」の字のように折れ曲がった台形の形を探してみましょう。
テーブルさん座の見どころ
大マゼラン雲(大マゼラン銀河)
大マゼラン雲 / ÷ Eckhard Slawik (e.slawik@gmx.net) / 出典:ESA/Hubble
テーブルさん座の目印としても活躍してくれる大マゼラン雲は、テーブルさん座とかじき座にまたがって存在する銀河です。その美しさから、大マゼラン雲は「万華鏡」にも例えられています。
大マゼラン雲は肉眼でも確認することは可能ですが、銀河に散らばる星雲や星団の姿をじっくりと楽しみたい場合には、口径6cm以上の望遠鏡を用意しておくとよいでしょう。
ラカイユは、大マゼラン雲のすぐ下にテーブルさん座を設定しました。これは、テーブルさん座にかかる幻想的な白い雲が、大マゼラン雲と重なって見えたことによるものであると考えられています。
テーブルさん座の神話・伝説
テーブルさん座は18世紀に、フランスの天文学者ラカイユが設定した星座です。新しい星座なので、テーブルさん座にまつわる神話・伝説はありません。
テーブル山(テーブルマウンテン)は南アフリカ共和国ケープタウンの南に位置する、標高1087mの山です。頂上が約3kmにもわたって平坦になっており、まさにテーブルのよう。
ラカイユは南天の星々を調べるためにテーブル山のふもとに3年ほど滞在しました。これを記念して星座にしたといわれています。
実在する地名が星座になっているのは、テーブルさん座ただひとつです。
おわりに
ラカイユが過ごしたケープタウン、そしてテーブル山は、天体観測の聖地ともいわれています。
テーブルさん座自体は目立たない星座ではありますが、「ケープタウンでテーブルさん座を見上げてみたい!」と憧れている天文ファンは、きっと多いことでしょう。
Special Thanks
「テーブルさん座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.145-178, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.226, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8