宇宙のはじまりは「無」って本当?宇宙はどのようにして誕生したの?
当たり前のように存在している宇宙ですが、いまだ解明されていない謎は数多く残されています。
そんな中でも、私たちの心をワクワクとさせてくれるとびきりの謎のひとつが、「宇宙はどのようにして誕生したのか?」ではないでしょうか。
このページでは宇宙のはじまりについて、2020年9月までに判明している、または「確率が高い」と考えられている範囲で、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います。
宇宙はどのようにして生まれたの?
宇宙誕生のきっかけは「揺らぎ」のアンバランス?
宇宙の誕生は、今からおよそ138億年前。宇宙が生まれる前の世界は、「無(む)」であったと推測されています。
「無」とはいっても、全く何もない「完全な無」というわけではありません(※1)。ごくごく細かな「粒子」と「反粒子(※2)」が作られたり消えたりすることによって生じる、かすかな「揺らぎ」が存在したのです。揺らぎは、振動と言い換えてもよいでしょう。
この静かな波のような「揺らぎ」の均衡が、何かの拍子で破れてしまった瞬間に生じたものが「宇宙」であると考えられています。
(※1) 現代の物理学においては、「何ものも一切存在しない、完全な無」という状態は「ありえない」というのが定説です。
(※2) 反粒子・・・粒子と同じ質量を持ち、粒子とは正反対の性質を持つ、「粒子の対」とも呼べる存在のこと。粒子と反粒子がくっ付くと、お互いに打ち消し合って消えてしまいますが、エネルギーだけは残ります。
火の玉宇宙の大膨張!(ビッグバン)
誕生した宇宙は、1秒にも満たない非常にわずかな時間のうちに、果てしない広さにまで膨れ上がりました(※3)。この時に生じたエネルギーにより、超高温・高密度の火の玉のような状態になった宇宙は、さらに膨張していきます。
これが、現在「ビッグバン(Big Bang)」と呼ばれている現象です。
ビッグバンを起こした高温の宇宙は、緩やかながらもその後も膨張を続け(※4)、次第に冷えていきました。
(※3) 宇宙誕生直後に起こった、この加速度的な膨張(膨れ上がり)は、「インフレーション」と呼ばれています。
(※4) ビッグバンによる膨張は、現在も続いています。つまり、宇宙は今も広がり続けているのです。この膨張がいつまでも続くのか、それとも止まる日がやってくるのか、はたまた逆に宇宙が縮小し始めるのかは分かっていません。
- 宇宙誕生
- 急激な膨張
- ビッグバンによる更なる拡大、冷却
こうした一連の流れの中で、今現在ごくごく一般的な存在として知られている空間や時間、重力、光、そして全ての物質を形作る原子などが生まれたのです。
ビッグバン後の冷えた宇宙には、星雲や恒星、惑星など、さまざまな天体が誕生し始めます。私たちが暮らす太陽系が生まれた時期は、ビッグバンから92億年程度が経過した、今からおよそ46億年前と推測されています。
太陽系 © The International Astronomical Union/Martin Kornmesser / 出典:ESA/Hubble
まとめ
数々の宇宙の謎と同じように、宇宙が誕生した仕組みについても、残念ながら完全に解明されている訳ではありません(2020年9月時点において)。気が遠くなるほどに遥か昔の出来事であり、実際に目撃した人物も存在しないのですから、なかなか分からないのも当然のことでしょう。
ここでご紹介した説も、宇宙に関する数多くの研究や観察結果を通して、「こうであった可能性が高い」と推測されているものに過ぎません。
しかし科学は、目覚ましいスピードで発展しています。科学の進歩に伴って、今まで「常識」だと思われていたことが否定されたり、新たな事実が判明したりすることが、今後も増えてくるでしょう。
宇宙誕生の謎についても、完全解明される日がいつかやって来るかもしれませんね。