冬の夜空の王者オリオン座
冬の星座の代表と言えば、このオリオン座でしょう。88星座すべての代表と言ってもいいと思います。
明るい星が多く、その並びも美しく、知名度も抜群のまさにスーパースターです。
オリオン座の基礎情報
星座の名前 | オリオン |
---|---|
学名/読み方 | Orion/オリオン |
略符 | Ori |
面積(順位) | 595平方度(26位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
冬/2月頃 |
20時南中 | 2月5日 |
隣り合った星座 |
いっかくじゅう座 うさぎ座 エリダヌス座 おうし座 ふたご座 |
オリオン座の概要
オリオン座の特徴
オリオン座は一等星を2つもち、腰の部分の三つ星もとても目立ちます。また、オリオン大星雲や馬頭星雲などの有名な星雲もあります。
オリオン座は古代バビロニアですでに知られていた古い星座です。バビロニアではメロディク王、スカンジナビアでは巨人・オルワンデルの姿に見立てられました。
オリオン座の2つの一等星は対照が際立っています。オリオンの右肩で輝くベテルギウスは赤色巨星で年老いた星です。それに対して、左足の下で青白く輝くリゲルは青色超巨星で若い星です。
日本では源平合戦の旗印の色になぞらえて、ベテルギウスを「平家星」、リゲルを「源氏星」と呼んでいました。
オリオン座は冬の星座の案内人でもあります。オリオン座を目印に「冬の大三角形」、「冬のダイヤモンド」を見つけることができます。
オリオン座の見つけ方
冬の天の川の西に1等星2つと2等星2つが長方形をつくり、中心に3つの星が斜め一直線に並んでいるのがオリオン座です。
この特徴的な形は目立つのですぐわかります。
オリオン座の見どころ
オリオン大星雲 M42
M42
オリオンの三つ星の南にある小三つ星の真ん中にある有名な大散光星雲です。肉眼でもぼんやりとした雲のように見えます。
双眼鏡では視野いっぱいに翼を広げた鳥のような形の星雲が見えます。望遠鏡では星雲の中心に「トラペジウム」という四重星を見ることができます。
望遠鏡の視野に入れるのが簡単なので、望遠鏡の操作に慣れていない初心者にもおすすめの星雲です。
オリオン大星雲は星が誕生している領域としても有名です。星雲を形づくっているのは、ガス(水素・ヘリウム)とチリ(炭素・ケイ素)でできた星間雲です。
星間雲が重力によって収縮をすることによって原始星(星の赤ちゃん)が生まれます。重力のエネルギーは原始星の中心部を加熱し、原始星は赤外線を出し始めます。オリオン大星雲の中心部にも、このような原始星が観測されています。
さらに収縮が続き、中心温度が1000万度に達すると、水素の核融合に着火し一人前の恒星になります。トラペジウムもこうして1万年ほど前にオリオン大星雲から誕生した星たちです。
馬頭星雲
馬頭星雲
三つ星の南東の星付近にある暗黒星雲です。背景の散光星雲の中に、馬の頭部の様な形をした暗黒星雲があります。
条件のいい空で、口径15cm程の望遠鏡で暗黒星雲が背景の星雲に食い込んでいる様子が分かります。
散光星雲 M78
M78 © Richard S. Wright Jr. / 出典:NASA
三つ星の北にある散光星雲です。「ウルトラマンの星」として名前だけ知っている人も多いのではないでしょうか。
澄んで暗い空であれば7×50双眼鏡で淡い雲の様な姿を確認することができます。口径10cm程度の望遠鏡では彗星の頭部の様に見えます。口径20cmでは星雲の濃淡がよく分かって面白いです。
α星(アルファ星) ベテルギウス
ベテルギウス © Andrea Dupree (Harvard-Smithsonian CfA), Ronald Gilliland (STScI), NASA and ESA / 出典:ESA/Hubble
ベテルギウスは「巨人のわきの下」という意味で、その名の通りオリオンの右わきの下のところで輝いています。
この星は変光星で2070日の周期で0.4等~1.3等級まで不規則に変化します。この星が変光するのは星の終末期で安定を失っているためで、星自体が風船のように膨らんだり縮んだりしています。
ベテルギウスは小さいときでも太陽の約650倍もある赤色超巨星です。太陽系の中心に置いた場合、火星の軌道をすっぽりと飲み込む大きさです。
ベテルギウスは近い将来、最期を迎えて超新星爆発を起こすと考えられています。ベテルギウスは地球と640光年しか離れていないので、ベテルギウスが爆発するとき、地球は有史以来もっとも近くで超新星爆発を経験することになります。
ぜひ見てみたいものですが、いつ爆発するか、はっきりとは分かっていません。
β星(ベータ星) リゲル
リゲル © Akira Fujii / 出典:ESA/Hubble
リゲルは「巨人の左足」という意味で、その名の通りオリオンの左足のところで輝いています。
リゲルは青色超巨星で、太陽の50倍も大きく、実際の明るさは太陽の4万倍もあります。
オリオン座の神話・伝説
おわりに
オリオン座は最も寒さが厳しい2月初めの宵、南の空に最も高くあがります。
寒さに耐えて宝石のように絢爛豪華な冬の星座を堪能しましょう。
Special Thanks
「オリオン座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.115-144, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.162, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8