優雅な尾羽を持つ雄のクジャク!羽の模様は巨人の目玉?くじゃく座
くじゃく座は、南天の星座のひとつです。
くじゃく座のモデルはその名の通り、南アジアを原産とする鳥類「クジャク(孔雀)」です。星座絵では、横を向き、尾羽を誇らしげに広げたオスのクジャクの姿が描かれています。
くじゃく座の基礎情報
星座の名前 | くじゃく(孔雀) |
---|---|
学名/読み方 | Pavo/パヴォ |
略符 | Pav |
面積(順位) | 378平方度(44位) |
作ったひと | ヨハン・バイヤー |
おすすめの 観測時期 |
秋/9月上旬(南天) |
20時南中 | 9月5日 |
隣り合った星座 |
インディアン座 さいだん座 はちぶんぎ座 ふうちょう座 ぼうえんきょう座 |
くじゃく座の概要
くじゃく座の特徴
全体的に暗めの星々から構成されているくじゃく座ですが、その中でもひと際明るい星が「ピーコック」です。「ピーコック」とは、「オスのクジャク」を意味する英語です。
2等星であるピーコックは、くじゃく座のα(アルファ)星であり、クジャクの頭部に位置しています。
明るく輝くピーコックは、くじゃく座のあるエリアの中では非常に目立つ存在であり、他の星座を見つける際の目印としても重宝されています。
くじゃく座のα星には、長いこと固有の呼び名がありませんでした。α星が「ピーコック」という名で呼ばれ始めたのは1930年代ですが、正式に承認されたのは2016年に入ってからです。
くじゃく座の見つけ方
くじゃく座は南天の星座であり、日本のほとんどの地域からは見ることができません。日本国内でくじゃく座を観察しようと思ったら、熊本県よりも南の地域へと行く必要があります。
とはいえ、日本国内ではたとえ沖縄県まで足を延ばしたとしても、くじゃく座の全身を拝むことは不可能でしょう。くじゃく座をしっかりと観測するには、ニュージーランドやオーストラリアといった南半球の国を訪ねることが一番です。
南半球では、春にくじゃく座の見頃が訪れます。みなみのさんかく座のα星「アトリア」の先を辿っていくと、くじゃく座で最も明るい星ピーコックが見つかります。
ピーコックが表すのはクジャクの頭、そこから伸びる長い首の先にはβ星やδ星が輝く胴体があり、立派な尾羽にはη星がきらめきます。
くじゃく座は目立つ星の少ない星座です。しかし、星々を繋いだ形自体はクジャクの姿をよく現しているため、ピーコックが見つかれば、全体を把握することはそれほど難しくないのではないでしょうか。
くじゃく座の見どころ
渦巻銀河 NGC6744
NGC6744 © NASA, ESA, and the LEGUS team / 出典:ESA/Hubble
まだ若い渦巻銀河のNGC6744は、くじゃく座の背中の上あたりに位置しています。NGC6744は、天の川銀河と非常によく似た銀河として有名です。
NGC6744の渦を巻いた姿をしっかりと観察するためには、望遠鏡(口径25cm前後)を用意しておきましょう。
球状星団 NGC6752
NGC6752 © ESA/Hubble & NASA / 出典:ESA/Hubble
前述のNGC6744よりもやや上にある球状星団が、NGC6752です。NGC6752は、全天の中で3番目に明るい光を放つ球状星団として知られています。
NGC6752を細かく観察するには、口径7.5cm程度の望遠鏡が欲しいところですが、肉眼でも見ることができます。
ただし、視力の弱い人は少し難しいかもしれません。ご自分の視力を試すために、NGC6752を肉眼で探してみるのも楽しそうですね。
くじゃく座の神話・伝説
くじゃく座は、1600年代に設定された新しい星座であるため、神話は伝わっていません。
クジャクの神話
クジャクの「尾羽の模様」については、「女神ヘラの命令で牝牛を見張っていた時に、ヘルメスによって退治されてしまったアルゴスの目玉である」というギリシャ神話が残っています。
アルゴスは、100個の目玉を持つ異形の巨人です。ヘラはアルゴスの死を悼み、その目玉を取り出してクジャクの羽を飾ったと伝わっています。
おわりに
目立つ星の少ないくじゃく座ですが、その面積は広く、大型の鳥類であるクジャクの特徴をよく現しています。
南半球の国で空を見上げる機会があったら、ぜひくじゃく座を探して、その優雅な姿を堪能してみてくださいね。
Special Thanks
「くじゃく座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.145-178, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.206, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8