北斗七星から春の星座を探してみようおおぐま座
北斗七星は、カシオペア座と共に北極星を探すための星として小学校の教科書にも載っています。
でも実は、「北斗七星」という星座はありません。おおぐま座の腰からしっぽの部分が北斗七星なのです。
おおぐま座の基礎情報
星座の名前 | おおぐま(大熊) |
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学名/読み方 | Ursa Major/ウルサ・マイヨル |
略符 | UMa |
面積(順位) | 1278平方度(3位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
春/5月頃 |
20時南中 | 5月3日 |
隣り合った星座 |
うしかい座 かみのけ座 きりん座 こじし座 しし座 やまねこ座 りゅう座 りょうけん座 |
おおぐま座の概要
おおぐま座の特徴
北斗七星を含むおおぐま座はかなり巨大な星座で、全天88星座の中でも3番目の大きさです。
ひしゃくの形の北斗七星は春の星座のガイド役でもあります。北斗七星の先端にある2つの星の間隔を5倍延ばしたところに北極星(こぐま座)があります。
反対側に伸ばすとしし座のレグルスが見つかります。北斗七星の柄のカーブに沿って円を描くように伸ばすと、うしかい座のアルクトゥルスを通って、おとめ座のスピカに至ります。この曲線が「春の大曲線」です。
おおぐま座の見つけ方
北の空でひしゃくの形に並ぶ七つの明るい星、北斗七星がおおぐま座の目印です。
北斗七星が熊の胴体からしっぽの部分で、これと爪の部分にそれぞれ2つずつ並んだ星を結びつけると大きな熊の姿が夜空に浮かび上がります。
最も見ごろとなる5月の午後8時頃には北の空を逆さまに歩いているように見えます。
おおぐま座の見どころ
ζ星・ミザール
ミザール
ひしゃくの柄の先から2番目の星は肉眼でも見分けられる二重星です。
2等星のミザールの横に4等星のアルコルが寄り添っています。
この2つの星は昔、アラビアで視力の検査に使われました。もし2つの星が見分けられなければ視力0.1以下となり相当目が悪いですね。
ちなみに筆者が中学生の時に叔父さんに買ってもらった望遠鏡の名前が「ミザール」でした。このミザール星に由来していて、星々のロマンを広めたいとの思いを込めた命名だそうです。
渦巻銀河 M101
M101 © NASA, ESA, CXC, SSC, and STScI / 出典:ESA/Hubble
おおぐま座のしっぽ近くにある渦巻銀河です。
銀河円盤が回転花火のように見え、回転花火銀河とも呼ばれています。
非常に淡く写真撮影向きの天体ですが、口径30cmの望遠鏡だと渦巻が分かります。
銀河群 M81・M82
上がM82、下がM81 © NASA, ESA, A. Zezas (CfA), and A. Filippenko (UC Berkeley) / Acknowledgment:Hubble Heritage Team (STScI/AURA) & O. Fox (University of California, Berkeley) / 出典:ESA/Hubble
おおぐま座の後頭部にある2つの銀河です。
M81は渦巻銀河、M82は不規則銀河です。M81とM82が衝突した影響でM82は大爆発を起こしています。
口径10cmの望遠鏡で60倍なら同一視野内に見えます。
M81 © NASA, ESA and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA) / Acknowledgment:J. Gallagher (University of Wisconsin), M. Mountain (STScI) and P. Puxley (NSF) / 出典:ESA/Hubble
M81はぼうっとした楕円形の中に中心核と腕が明るく見えます。
M82 © ESA/Hubble and Digitized Sky Survey 2. / Acknowledgements:Davide De Martin (ESA/Hubble) / 出典:ESA/Hubble
M82は細長い光の帯の中に不規則な濃淡が見えます。これは銀河の衝突の影響でしょう。
おおぐま座の神話・伝説
おおぐま座のモデルとなったのは、月と狩りの女神アルテミスの侍女をしていたカリストです。カリストには息子のアルカス(こぐま座のモデル)がいました。
2人の親子は悲しい運命によって、熊の姿に変えられてしまいました。
おわりに
北斗七星は北極星だけでなく、春の星座全体の案内役です。
北斗七星をガイドに、おおぐま座を始めとする春の星座探訪を楽しみましょう。
Special Thanks
「おおぐま座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.9-40, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.76, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8