アメリカの先住民。夜空に「人」の文字を探そう!インディアン座




インディアン座は、オランダの航海士であるケイザー(キイサー)と、探検家のハウトマン(ホウトマン)によって、16世紀に作られた南天の星座です。
星座絵では、右手に抱えた矢の中から1本を左手に構え、腰蓑(こしみの)を身につけて立っているネイティブ・アメリカン(アメリカ大陸の先住民)の姿が描かれています。
日本においては過去、「インド人座」などとも呼ばれていたインディアン座ですが、南アジアのインド共和国に住む人たちを表した星座ではありません。
インディアン座の基礎情報
星座の名前 | インディアン |
---|---|
学名/読み方 | Indus/インドゥス |
略符 | Ind |
面積(順位) | 294平方度(49位) |
作ったひと | ヨハン・バイヤー |
おすすめの 観測時期 |
夏/10月上旬(一部南天) |
20時南中 | 10月7日 |
隣り合った星座 |
けんびきょう座 きょしちょう座 くじゃく座 つる座 はちぶんぎ座 ぼうえんきょう座 |
インディアン座の概要
インディアン座の特徴
インディアンが携える矢の羽根に輝くのは、インディアン座の中で最も明るいα星(アルファ星)である「ペルシアン」。ペルシアンは3等星、それ以外の星々は全て4等星以下です。
このことからも分かる通り、インディアン座は決して明るく華やかな星座ではありません。
しかし、インディアンという「人間」を表した星座らしく、インディアン座の星たちは、漢字の「人」のような特徴的なラインを描いています。
そのため、だいたいの場所さえつかめれば、インディアン座を見つけることはそれほど難しくはないでしょう。
インディアン座の見つけ方
上で述べた通り、インディアン座自体は目立ちにくい星座ですが、周囲には案内役となってくれる明るい星が多く存在します。
インディアン座を探す時に目印にしたい星は、くじゃく座のα星「ピーコック」と、つる座のα星「アルナイル」です。
ピーコックとアルナイル、このふたつの2等星に挟まれたエリアを見てみると、控えめな輝きの星々が、少しいびつな「人」という漢字の形に並んでいるのが見えることでしょう。これが、インディアン座です。

残念なことに日本は、インディアン座の観測には不向きです。日本でインディアン座を見るためには、秋(9月中旬頃がおすすめです)に、沖縄県や、鹿児島県の奄美大島辺りまで足を延ばしてみましょう。
それでも見えるのは、南の地平線スレスレに現れるインディアン座の「上半身」程度であり、全景を拝むことは難しいです。
南天の星座であるインディアン座の観察には、オーストラリアやニュージーランドなど、南半球の国々に旅行するのが一番です。
インディアン座の見どころ
インディアン座θ星(シータ星)
インディアン座のθ星(シータ星)は、4.5等級と7.1等級の星から構成される二重星です。
7.5cm前後の望遠鏡があれば、簡単にふたつの星に分離できるでしょう。
θ星は、まるで首飾りの宝石のように、インディアンの首元で光っています。
渦巻銀河 NGC7090

NGC7090 © ESA/Hubble & NASA、Acknowledgement::R. Tugral / 出典:ESA/Hubble
NGC7090は、インディアンが右手に抱えた数本の矢のエリアに存在する、11等級の渦巻銀河です。太陽からNGC7090までの距離は、およそ3000万光年。
望遠鏡を使ってNGC7090を観察してみると、夜空に開かれた「細長い裂け目」のような姿に見えることでしょう。これは、地球上に住む私たちが目にしているのが、NGC7090の側面であるためです。
全体的に白っぽいNGC7090ですが、所々で輝くピンク色の領域が非常に美しく、天文写真の被写体として人気を集めています。
インディアン座の神話・伝説
インディアン座にまつわる神話・伝説はありません。
インディアン座は、オランダの航海士ケイザーとホウトマンによって、16世紀の終わりに作られた新しい星座のひとつです。17世紀に入り、ドイツの天文学者バイヤーが星表に記載して発表したのをきっかけに、広く知られるようになりました。
おわりに
インディアン座は派手な星座ではないものの、「人」という文字を思わせるユニークな星の配置や、美しい渦巻銀河NGC7090など、見どころもあります。
天文写真を趣味にされている方にとっては、ぜひともチェックしておきたい星座ではないでしょうか。
Special Thanks
「インディアン座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.145-178, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.208, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8