小さくてもユニークな星座!頭上のハエを狙っている?カメレオン座




カメレオン座は、全天で10番目に小さな星座として知られています。しかも、4等星以下という暗い星々で構成されているカメレオン座は、それほど人目をひく星座ではないでしょう。
新しく設定された星座であることから、カメレオン座には神話や伝説もありません。しかし、カメレオン座が設定された経緯は、私たちの想像力を刺激してワクワクさせてくれるのです。
カメレオン座の基礎情報
星座の名前 | カメレオン |
---|---|
学名/読み方 | Chamaeleon/カメレオン |
略符 | Cha |
面積(順位) | 132平方度(79位) |
作ったひと | ヨハン・バイヤー |
おすすめの 観測時期 |
春/4月下旬(南天) |
20時南中 | 4月28日 |
隣り合った星座 |
テーブルさん座 とびうお座 はえ座 はちぶんぎ座 ふうちょう座 りゅうこつ座 |
カメレオン座の概要
カメレオン座の特徴
熱帯の生物である「カメレオン」の姿を現したカメレオン座は、なかなかにユニークな星座です。
まずカメレオンは、星座が設定されたヨーロッパではとても珍しい生物であったにも関わらず、星座に仲間入りしています。
これは、オランダの探検家であるハウトマン(ホウトマン)と、航海士のケイザー(キイサー)が、航海中に立ち寄ったマダガスカル島で見かけた不思議な生き物=カメレオンの姿を、夜空の星々に重ねたのではないか?と考えられています。
また、カメレオン座の舌先には、カメレオンの大好きな「ハエ(蠅)」を表したハエ座が設定されています。カメレオン座とハエ座の位置関係は、「カメレオンが飛び回るハエに狙いを定めて、今まさに舌で巻き取ろうしている」様子に見えます。
しかし、これらふたつの星座が本当に、「カメレオンの狩りの瞬間」を描写したものであるか否かは、ハッキリとしていません。
カメレオン座の存在とは全く別の理由から、はえ座が作られたという可能性も考えられます。そもそも、天文学者のバイエルは「はえ座」に、ハエではなくミツバチの姿を連想していたことが分かっています。
カメレオン座の設定理由も、はえ座との関係も、カメレオン座の設定に関わった人たちが既に亡くなっているため、真相は永久に分からないでしょう。このように、カメレオン座はなかなかに私たちの想像力を刺激してくれる星座なのです。
カメレオン座の見つけ方
カメレオン座は南天に輝く星座です。みなみじゅうじ座の南、とびうお座とはちぶんぎ座、そしてはえ座に囲まれたエリアに、カメレオン座は位置しています。
カメレオン座の星々は暗い星ばかりです。しかし、「つぶれたひし形」という特徴的な形をしているため、探すことはそれほど難しくはないでしょう。カメレオン座の近くには、天の南極も確認できます。

残念なことに、カメレオン座は日本からは一切見ることができません。南天の星座の中には、沖縄や四国まで行けば、姿の一部を見せてくれる星座もあります。
しかしカメレオン座に会うためには、日本を飛び出し、南半球の国々にまで足を延ばす必要があるのです。オーストラリアやニュージーランドなどでは、年間を通してカメレオン座を観測できます。
カメレオン座の見どころ
δ星
カメレオンの後ろ足に位置するδ(デルタ)星は、ふたつの星が仲良く並んだ「二重星」です。カメレオン座のδ星は、5.4等星と4.4等星と、決して明るい星ではありません。
しかし、7×50の双眼鏡でδ星を確認してみると、2つの星があることがしっかりと分かります。さらに望遠鏡を覗けば、それぞれの星の色の違いまで見えることでしょう。
カメレオン座の神話・伝説
カメレオン座は16世紀の終わりから17世紀の初めに作られた、新しい星座です。そのため、カメレオン座にまつわる神話・伝説はありません。
カメレオン座はもともと、1590年代にオランダの航海士ケイザーと地理学者ホウトマンとによって作られた星座です。彼らはマダガスカル島で南天の星々を観測し、そのデータをホウトマンの師にあたるプランキウスにもたらしました。
プランキウスはカメレオン座を「ケイザーとホウトマンの12星座」のうちの1つとして天球儀に記しました。さらに1603年、ドイツのバイヤーが星表『ウラノメトリア』に記載したことで世間に広まったのです。
おわりに
日本からは一切見えない星座ということもあり、どうにも存在感の薄いカメレオン座。「南天の星座の主役といえば、やっぱりみなみじゅうじ座だよね!」という人が大半なのではないでしょうか。
しかし、もしも南半球の空を見上げる機会が巡ってきた時には、先人の遊び心が詰まっている(かもしれない)カメレオン座にも、ぜひ目を向けてみてくださいね。
Special Thanks
「カメレオン座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.145-178, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.202, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8