オリオンの足元から流れる星の川エリダヌス座
夜空を流れる川と言えば真っ先に思い浮かぶのが天の川ですが、川をモチーフにした星座というのも存在します。
冬の夜空をひっそりと流れているエリダヌス座です。
エリダヌス座の基礎情報
星座の名前 | エリダヌス |
---|---|
学名/読み方 | Eridanus/エリダヌス |
略符 | Eri |
面積(順位) | 1138平方度(6位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
冬/1月頃(一部南天) |
20時南中 | 1月14日 |
隣り合った星座 |
うさぎ座 おうし座 オリオン座 くじら座 ちょうこくぐ座 とけい座 ほうおう座 みずへび座 ろ座 |
エリダヌス座の概要
エリダヌス座の特徴
エリダヌス座は全天では6番目に大きな星座で、天の赤道付近から赤緯マイナス58度まで点々と星が連なります。 日本では、熊本以南でエリダヌス座の全景を見ることができます。
エリダヌスというのはギリシャ神話の川の名前ですが、この星座は各地の大河の名前で呼ばれていました。 例えば、エジプトではナイル川、バビロニアではユーフラテス川、ローマではポー川に見立てられていました。
エリダヌス座の見つけ方
エリダヌス座はオリオン座のリゲルの付近にあるβ(ベータ星)に端を発し、くじら座付近まではいくらか南北に振れながら西に流れます。
そのあと南東に折れ曲り、オリオン座の三ツ星の右端とリゲルを結んだ線を南に3.5倍ほど延長した位置で南西に向きを変えて、そのまま終点のアケルナルまで南西方向に進んでいきます。
エリダヌス座の見どころ
α星(アルファ星) アケルナル
エリダヌス座の南の果てのところに輝いている青白い1等星です。アケルナルとはアラビア語で「川の果て」という意味です。
地球からの距離は140光年で、高速で自転しているため赤道方向に膨らんだ楕円形をしています。
日本では九州南部より南でしか見ることができませんが、南半球では星座を探す時の重要なガイド星になります。
二重星 32番星
おうし座との境界付近にある二重星です。
黄色の4.8等級の主星と、青白い6等級の伴星が並んでいて、色の対比が際立っています。口径6cm程の望遠鏡で2星に分かれて見えます。
棒渦巻銀河 NGC1300
NGC1300 © NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA) / 出典:ESA/Hubble
エリダヌス座の中流にある有名な棒渦巻銀河です。
口径8cm程度の望遠鏡で、かなり大きく淡く広がっているのを見ることができます。
惑星状星雲 NGC1535
西に流れる上流部分の中間、γ星(ガンマ星)付近にある惑星状星雲です。
口径10cmくらいの望遠鏡で、青緑色にぼんやりとした円盤が見えます。「クレオパトラの瞳」と呼ばれていますが、その名に負けない美しさです。
おわりに
エリダヌス座はアケルナル以外には明るい星がありませんが、形を覚えると簡単に星をたどっていけるようになります。
空気の澄んだ暗い空で、夜空の川下りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Special Thanks
「エリダヌス座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.115-144, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.176, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8