七夕伝説
知らない人はいない織姫と彦星の七夕のお話。これは中国から日本に伝わりました。
七夕にまつわるお話には様々なものがありますが、この記事では広く知られている織姫と彦星のお話を紹介します。
七夕伝説
仕事熱心な織姫
空を統べる神様・天帝には織姫という娘がおりました。天の川の西岸に住んでいた織姫は機織りが得意で、天帝の自慢の娘です。
とても美しい織物を生み出す織姫ですが、本人は化粧もせず身なりに気を使うこともなく、ただひたすらに働き続けていました。天帝はそんな彼女が幸せになれるよう、娘に見合う婿を探すことにします。
真面目な彦星と織姫は夫婦に
空から天帝が見つけたのは東岸に住む牛の世話をしている彦星という青年です。彼もまた真面目に牛の世話をしていて、娘にお似合いだと天帝は思いました。
「織姫よ、お前に会わせたい者がいるのだが」
天帝は織姫と彦星を引き合わせます。彦星はいきなり天帝が自分の娘と夫婦になってくれと尋ねてきたことに驚いている様子です。
「私のような者でいいのであれば、断る理由はございません」
恐縮しながらもしっかりと答える彦星を織姫も気に入ったようで、ふたりは夫婦となり仲睦まじく暮らしだしました。天帝は真面目なふたりが一緒になれば、これまで以上にきちんと働いてくれると思っていたのです。
引き離される2人
しかしふたりは一向に働く様子がありません。毎日天の川のほとりで話に花を咲かせるばかりで、あんなに真面目に働いていたことが嘘のようでした。
「お前たちはいつになったら自分の仕事をしてくれるんだい?」
「明日からちゃんと働きます」
天帝が心配してふたりを諭しますが、いつも明日やると先延ばしにします。そのうち織姫の機織り機にはほこりがつもり、彦星の牛は痩せ細って次々と倒れていってしまいました。
これには親である天帝だけではなく、新しい布を必要とする人や牛を必要とする人も困ってしまいました。ふたりが一緒になってこんなにも怠け者になってしまうなんて誰が想像できたでしょうか。
「このままではいかん!」
事の重大さに天帝は織姫を無理やり天の川の反対岸に引き離しました。ふたりの目を覚まさせるにはお互いの姿が見えないようにするしかないと思ったのです。
年に一度会えることに
織姫は彦星と離れた悲しみに暮れ、自分が怠ってしまったことを反省しました。彦星も織姫と離れ、残された痩せ細った牛を見て現実を突きつけられます。
「自分の仕事には責任を持て。それが守れるなら、会う機会を作ってやるから」
天帝は同じことを彦星にも伝え、しっかりと自分の仕事をすれば年に一度会えるよう手配することにしました。こうして彦星は天の川の東で織姫は西側でそれぞれの仕事をしっかりやるようになります。
そして一年間頑張ったふたりは、七月七日の夜にだけ天の川を渡って会うことができるようになりました。
おはなしにまつわる星座
キロンの教え子たちの多くは、のちに有名な星座となっています。