春の夜空に輝く1等星アークトゥールスうしかい座
うしかい座は右手にこん棒を持ち、左手に2匹の猟犬を連れている牛飼いの姿をかたどった星座です。
春の終り頃から梅雨の時期にかけて、天頂付近に見えます。
うしかい座の基礎情報
星座の名前 | うしかい(牛飼い) |
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学名/読み方 | Bootes/ボーテス |
略符 | Boo |
面積(順位) | 907平方度(13位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
春/6月頃 |
20時南中 | 6月26日 |
隣り合った星座 |
おおぐま座 おとめ座 かみのけ座 かんむり座 へび座 ヘルクレス座 りゅう座 りょうけん座 |
うしかい座の概要
うしかい座の特徴
うしかい座は春の代表的な星座の1つです。紀元前9世紀頃のギリシャの詩人ホメロスが書いた叙事詩「オデュッセイア」にもうしかい座の名前が出てきます。
うしかい座の1等星アークトゥールスは全天で21個ある1等星の中でも4番目の明るさを持っています。赤外線カメラで撮影すると肉眼で見るよりも2倍も明るく輝いています。
日本では、6月の麦刈りの始まる頃、アークトゥールスが頭上に輝くので、「麦星」の名で親しまれてきました。
アークトゥールスから視線を南に向けると、近くにおとめ座の1等星スピカが輝いています。うしかい座の1等星の雄々しいオレンジ色とおとめ座の1等星の清楚な白い色の対比から「夫婦星」と呼ばれています。
アークトゥールスは現在の位置からスピカの方向にすこしずつ移動しています。今から6万年後にはアークトゥールスはスピカのすぐ横にやってきて「春の夫婦星」として並んで見えることでしょう。
うしかい座の見つけ方
北斗七星の柄(え)をカーブにそって南へ伸ばすと、1等星アークトゥールスが見つかります。春の夜空で最も明るく輝くオレンジ色の星なのですぐに見つかるでしょう。
アークトゥールスからネクタイの形のように北に向かって星が並んでいるのがうしかい座です。
うしかい座の見どころ
二重星 ε星
牛飼いの腰のところにある星です。2.4等の黄色のε星に青色の5.1等星がくっついています。
19世紀の天文学者ストルーフェは「プルケリマ(もっとも美しいもの)」と名付けました。
口径6cmの望遠鏡で2つの星に分離して見えます。
二重星 ζ星
牛飼いの右足にある星です。4.8等の黄色のζ星と紫色の6.9等星が並んで色の対比が美しいです。
おわりに
アークトゥールスには「熊の番人」という意味があります。うしかい座を見るときは、りょうけん座、さらにおおぐま座を合わせて1つの構図としてながめてみてください。
2匹の猟犬を連れて大熊を追う牛飼いの姿が浮かんできて、美しい名画を見ているような気分になるでしょう。
Special Thanks
「うしかい座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.9-40, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.84, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8