その実体は散開星団かみのけ座
かみのけ座は、散開星団そのものが星座になっています。
明るい星がない星座ですが、この辺りは銀河が数多く点在していて「宇宙ののぞき窓」と呼ばれています。
かみのけ座の基礎情報
星座の名前 | かみのけ(髪) |
---|---|
学名/読み方 | Coma Berenices/コマ・ベレニケス |
略符 | Com |
面積(順位) | 386平方度(42位) |
作ったひと | ティコ・ブラーエ |
おすすめの 観測時期 |
春/5月下旬 |
20時南中 | 5月28日 |
隣り合った星座 |
うしかい座 おおぐま座 おとめ座 しし座 りょうけん座 |
かみのけ座の概要
かみのけ座の特徴
かみのけ座は暗い星々がひとかたまりになった星座です。
この星座のモデルは紀元前2世紀のエジプトの王妃ベレニケの髪の毛といわれています。
かみのけ座は2世紀にトレミー(プトレマイオス)がまとめた48星座からは抜け落ちましたが、16世紀にデンマークの天文学者ティコ・ブラーエによって正式に星座として認められました。
かみのけ座はそのほどんどの部分をメロッテ111という散開星団から構成されています。メロッテ111は約40個の星から成る散開星団で、地球から288光年という近い距離にあるため大きく広がって見えます。
イギリスの天文学者メロッテが1915年に星団のカタログに載せました。それまではこの星の群れは星団としては認識されていなかったのです。
かみのけ座の見つけ方
りょうけん座のコル・カロリ、うしかい座のアークトゥルス、しし座のデネボラでつくった三角形の中に輝く星の群れがかみのけ座です。
かみのけ座の見どころ
散開星団 メロッテ111
メロッテ111 © A. Fujii and Z. Levay (STScI) / 出典:ESA/Hubble
かみのけ座を構成する星の群れ。双眼鏡を向けると視野いっぱいに星が広がって見えます。
渦巻銀河 NGC4565
NGC4565 © ESA/Hubble & NASA / 出典:ESA/Hubble
かみのけ座の星が一番集中している部分の北東にある渦巻銀河です。真横を向いている銀河として有名です。
口径8cm程度の望遠鏡で細長く伸びた形が分かります。
渦巻銀河 M64・ブラックアイ
M64 © NASA/ESA and The Hubble Heritage Team (AURA/STScI) / 出典:ESA/Hubble
おとめ座の右腕にある3等星とりょうけん座のコル・カロリの中間付近にある渦巻銀河です。
口径8cm程度の望遠鏡で楕円形の光の斑点に見えます。特徴的な中心の暗部を見るには口径30cm程度の望遠鏡が必要です。
渦巻銀河 M88
M88 © Adam Block, Mt. Lemmon SkyCenter, U. Arizona / 出典:NASA
かみのけ座とおとめ座の境界付近にある渦巻銀河です。
口径7cm程度の望遠鏡で中心部が明るいだ円形の光斑に見えます。
渦巻銀河 M99
M99 / 出典:タニカワプランネット
かみのけ座とおとめ座の境界付近で、しし座のデネボラ寄りにある渦巻銀河です。
口径7cm程度の望遠鏡で全体がほぼ円形の光の雲に見えます。中心部がやや明るく見えます。
おわりに
かみのけ座は、5月中旬だと午後9時頃、6月中旬だと午後7時頃に天頂付近に昇ります。
まばらな星の群れが髪の毛のイメージとして見えるか実際その目で確かめてみてください。
また、かみのけ座付近は小望遠鏡でも楽しめる明るい銀河が多いので、望遠鏡で「宇宙ののぞき窓」をのぞいてみましょう。
Special Thanks
「かみのけ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.9-40, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.234, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8