頭と尾に分かれためずらしい星座へび座
みなさんは、「飛び地」というのをご存知ですか?飛び地とは一つの国なのに領土が切り離されている部分のことです。
実は星座の世界にも「飛び地」があるんです。その星座が「へび座」です。
へび座の基礎情報
星座の名前 | へび(蛇) |
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学名/読み方 | Serpens/セルペンス |
略符 | Ser |
面積(順位) | 637平方度(頭部は広さ 428.484 平方度で、尾部は 208.444 平方度)(23位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
夏/7・8月頃 |
20時南中 | 7月12日(頭)~8月17日(尾) |
隣り合った星座 |
いて座 うしかい座 おとめ座 かんむり座 たて座 てんびん座 へびつかい座 ヘルクレス座 わし座 |
へび座の概要
へび座の特徴
へび座は、元々へびつかい座の一部でした。それがいつの間にか、へびつかい座から分かれて独立した星座になりました。
へび座は、胴体をへびつかい座に分断されて、頭と尾の2つの部分に分かれています。このように2つの領域に分かれている星座は他にはありません。
天文学者がへび座をへびつかい座から分離させた理由は、へびつかい座が大きすぎたからです。
へびつかい座とへび座を合わせた大きさは、うみへび座を抜いて全天1位になります。あまりに大きいため、星や天体の位置を表す目的には適していなかったのです。
へび座の見つけ方
まず、さそり座のアンタレスを目印にへびつかい座の五角形を探します。
へびつかい座の両側に連なっている星の並びがへび座です。
へび座の見どころ
わし星雲 M16
M16 © Johannes Schedler (Panther Observatory) / 出典:NASA
へび座(尾部)とたて座の境目付近にある散開星団&散光星雲です。いて座の散光星雲M17の北に位置しています。
双眼鏡では手前の散開星団が淡い光の雲に見えます。小口径の望遠鏡でいくつかの星に分解できます。
散開星団は奥にある散光星雲から生まれてきた星々です。散光星雲も見るためには口径20cm以上の望遠鏡が必須です。
球状星団 M5
M5 © Adam Block, Mt. Lemmon SkyCenter, University of Arizona / 出典:NASA
へび座(頭部)のおとめ座との境界付近にある球状星団です。
双眼鏡では光のシミに見えます。球状星団の形を確認するには口径10cm以上の望遠鏡が必要です。
へび座の神話・伝説
へび座はもともと、へびつかい座の一部でした。 へびつかい座のモデルはギリシアの名医アスクレピオスです。アスクレピオスは蛇から薬草の効果を学んだとも、死後も蛇に姿を変えて人々を救ったともいわれています。
また、古代ギリシアでは、脱皮を繰り返す蛇は、再生と健康を司る神聖な生きものとみなされていたようです。
おわりに
星図上では2つの部分に分かれているへび座ですが、星の並びは頭から尾まで連続してたどっていくことができます。
へびつかい座の領域のものも含めると、この巨大なへびの周囲には見応えのある星雲や星団が多いので、順番に巡っていくのも面白いのではないでしょうか?
Special Thanks
「へび座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.41-78, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.108, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8