β星はただひとつの緑色の星?てんびん座
黄道十二星座のひとつ、てんびん座は明るい星が少ないですが、形が特徴的なので案外見つけやすい星座です。
てんびん座を観察するなら、最も明るいβ星(ベータ星)をぜひ見てみてください。β星は、科学的には存在しないはずの「緑色の恒星」であるとされてきた、不思議な星です。
てんびん座の基礎情報
星座の名前 | てんびん(天秤) |
---|---|
学名/読み方 | Libra/ライブラ |
略符 | Lib |
面積(順位) | 538平方度(29位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
夏/7月上旬 |
20時南中 | 7月6日 |
隣り合った星座 |
うみへび座 おおかみ座 おとめ座 さそり座 へび座 へびつかい座 |
てんびん座の概要
てんびん座の特徴
さそり座のアンタレスとおとめ座のスピカのほぼ中間で、「く」の字を裏返した形に並んでいるのがてんびん座の特徴です。
てんびん座は元々はさそり座の一部でした。古代ギリシャ人は、てんびん座の部分をさそりの2つのつめ(はさみ)に割り当てていましたが、ローマ時代にてんびん座として独立したと考えられています。
てんびん座がさそり座の一部だった時代の名残は星の名前に残っています。β星ズベン・エス・カマリは「北のつめ」、α星(アルファ星)ズベン・エル・ゲヌビは「南のつめ」、そしてγ星(ガンマ星)ズベン・エル・ハクラビは「さそりのつめ」という意味なのです。
てんびん座の見つけ方
てんびん座はさそり座を目印にして探すのが簡単です。
アンタレスとさそりの頭にある3つ星をそれぞれ結んで延長していくと、ひらがなの「く」の字を裏返したような星の並びがあります。これがてんびん座の主要部分です。
てんびん座の見どころ
β星
てんびん座β星は、古くから「緑がかった」「エメラルド」などと表現され、多くの観測者によって緑色に見えると紹介されてきた星です。
星の色はその表面温度によって決まります。温度の低い方から、赤→オレンジ→黄→白→青というように色が変わるのです。
緑色の星というのがあってもよさそうですが、科学的には存在しないとされています。実際にβ星の光を分析してみると、その結果は白色の星であることを示しています。
なぜ、この星が緑色の星と言われるのか、いまだに分かっていません。
α星
てんびん座のα星は二重星で、視力の良い人なら肉眼でも2つの星を見分けることができます。
2.8等級の星のそばに5等級の星が輝いています。双眼鏡でも簡単に分離できます。
球状星団 NGC5897
てんびん座のγ星(ガンマ星)とδ星(デルタ星)を結んだ線の中ほどにある球状星団です。
口径5cm程度の望遠鏡では丸い光の雲に見えますが、口径20cmの望遠鏡を使えば個々の星に分離できます。
てんびん座の神話・伝説
おわりに
華やかなおとめ座とさそり座に挟まれて目立たないてんびん座ですが、緑色の星の謎は興味深いですよね。
てんびん座β星が本当に緑色をしているか、自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか?
Special Thanks
「てんびん座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.41-78, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.50, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8