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天の川の最も美しい場所たて座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

通常の星座は、星の並びからつくられますが、天の川のいちばん美しいところを切り取ってつくられた星座があります。

それが今回紹介する「たて座」です。

たて座の基礎情報

星座の名前 たて(楯)
学名/読み方 Scutum/スクーツム
略符 Sct
面積(順位) 109平方度(84位)
作ったひと ヨハネス・ヘヴェリウス
おすすめの
観測時期
夏/8月下旬
20時南中 8月25日
隣り合った星座 いて座
へび座
わし座

たて座の概要

たて座の特徴

いて座の北の空で、天の川が周りよりも濃く、明るくなっている部分があります。この部分がたて座です。

たて座の領域は「スモール・スター・クラウド(小さな星の雲)」と呼ばれ、双眼鏡でも小さな星がびっしりと集まって輝いているのが分かります。

たて座は神話ではなく、実在の人物にちなんだ星座です

1683年、イスラム勢力のオスマン・トルコ軍をウィーンで撃破したポーランドの英雄ジョン・ソビエスキーの功績を讃え、1690年にドイツの天文学者ヘベリウスが星座にしました。

当初は「ソビエスキーのたて座」と呼ばれていました。

たて座の見つけ方

わし座のアルタイルからδ星(デルタ星)、λ星(ラムダ星)とたどり、そこから弓なりに連なる星の先にたて座のβ星(ベータ星)があります。

たて座の見つけ方

いて座とわし座の中間付近の天の川で、周囲より明るく輝いているところがたて座です

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

たて座の見どころ

散開星団 M11

M11の写真

M11 / 出典:NASA

わし座のλ星とたて座のβ星をつなぐ一連の星の並びの中にあります。

7×50の双眼鏡では丸い光の雲に見えます。小望遠鏡でも全体が星雲状に見え、その中に細かい星がいくつか見えます。

M11は散開星団ですが密集度が高いため、大望遠鏡では球状星団のようにたくさんの星々が見えます。

散開星団 M26

たて座のα星(アルファ星)の東側にある散開星団です。M26は暗く、同じ散開星団であるM11とは見え方が全く違います。

双眼鏡で見つけるのは難しいですが、口径10cmの望遠鏡でなら数個の星が確認できます。

たて座の神話・伝説

たて座はポーランドの天文学者へべリウスによって17世紀に作られた星座です。新しい星座なので、たて座にまつわる神話はありません。

たて座はもともと「ソビエスキーの楯座」という名前でした。 ソビエスキーは軍人として活躍して人気を博し、選挙で国王に選ばれた人物です。 ソビエスキーは1683年にオーストラリアのウィーンに進軍してきたオスマン帝国の大軍を退けたことで、ヨーロッパの英雄となりました。 へべリウスもこの出来事を記念するために、ソビエスキーの楯座を作ったといわれています。

おわりに

たて座の辺りは、日本から見える天の川では最も美しい領域です。

夏に空の暗い場所に行く機会があれば、たて座の「スモール・スター・クラウド」を探してみてはいかがでしょうか?

Special Thanks

「たて座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.41-78, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.198, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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