巨大船の一部!見どころは長寿の星カノープス!りゅうこつ座
りゅうこつ座は、日本の一部の地域から見える南天の星座です。
りゅうこつ座の「りゅうこつ」とは、船の強度を高めるために使用される重要な部材「竜骨」を意味します。りゅうこつ座は、かつて存在したアルゴ座(アルゴ船座)の船底に位置する星座なのです。
りゅうこつ座が輝くのは、無数の星々がひしめくとても美しいエリアです。「見ると長寿になる」と言い伝えられるカノープスや、イータカリーナ星雲など、見どころも豊富です。
りゅうこつ座の基礎情報
星座の名前 | りゅうこつ(竜骨) |
---|---|
学名/読み方 | Carina/カリーナ |
略符 | Car |
面積(順位) | 494平方度(34位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
冬/3月頃(一部南天) |
20時南中 | 3月28日 |
隣り合った星座 |
がか座 カメレオン座 ケンタウルス座 とびうお座 とも座 はえ座 ほ座 |
りゅうこつ座の概要
りゅうこつ座の特徴
全天で2番目に明るいカノープスを擁するりゅうこつ座は、南半球ではよく知られた、人気の星座のひとつです。りゅうこつ座はもともと、アルゴ座という星座の一部でした。
ギリシャ神話に出てくるイアソン王子を始め、ヘルクレスやカストル、オルフェウスなど、大勢の勇者たちを乗せて航海した船がアルゴ船(アルゴー船)です。
巨大なアルゴ船の姿を表したアルゴ座は、2020年現在においては存在しません。アルゴ座は現在、りゅうこつ座を始め、ほ座、とも座、らしんばん座という4つの星座に分割されています。
りゅうこつ座の見つけ方
りゅうこつ座を見つける目印は、一等星のカノープスです。
日本でりゅうこつ座を観測する場合、東北地方中部より南の本州であれば、南の空の地平線ギリギリに、カノープスが確認できるでしょう。
九州南部や沖縄では、南の低い空にひと際明るく輝いているカノープスを簡単に見つけられます。
ですが、りゅうこつ座の全体を見るためには、南半球で観測することをおすすめします。
カノープスから東南方向にあるみなみじゅうじ座に向かって視線を動かすと、アルゴ船の船底を支えるりゅうこつ座の横に長い姿を確認できます。
カノープスもみなみじゅうじ座も南天の空ではひときわ明るく目立つ星たちなので、見つけるのは難しくないです。
りゅうこつ座の見どころ
りゅうこつ座α星 カノープス
カノープス(左下)、シリウス(右上) © A.Fujii / 出典:ESA/Hubble
カノープスと呼ばれるりゅうこつ座α星は、黄色い一等星です。全天一明るいおおいぬ座のシリウスに次いで2番目の明るさを放つ星が、カノープスなのです。
カノープスは、宮城県よりも南の地域からならば見えますが、東京辺りでは光が弱く、見つけるのは困難かもしれません。
中国では、カノープスのことを南極老人星とも呼び、「見ると、長寿と幸せが約束される星」と伝わっています。南極老人とは、日本の七福神の寿老人のモデルにもなった道教の神様です。
そんなおめでたいカノープスですが、昔の日本の漁師たちの間では、「風雨を起こし、海を荒らす星」として、恐怖の対象でした。カノープスは海が荒れる冬の時期に現れる星だからです。
りゅうこつ座η星
りゅうこつ座η星は、明るさをコロコロと変える不思議な恒星です。ある時には8等星や4等星、またある時にはマイナス1等星と、非常に幅広く明るさを変えます。
将来的には超新星爆発を起こすことが予想されており、太陽の100倍もの質量を持つりゅうこつ座η星は、肉眼でも確認することが可能です。
イータカリーナ星雲
イータカリーナ星雲 © N.Smith and NOAO/AURA/NSF / 出典:ESA/Hubble
りゅうこつ座η星を含む、非常に大きな散光星雲が、イータカリーナ星雲です。
赤色をベースに、ところどころがピンクや青、黄色に輝くイータカリーナ星雲の美しさは、南半球一であると称えられています。
肉眼でも、光る雲のように見えるイータカリーナ星雲ですが、その神秘的な美しさをより堪能するためには、ぜひ双眼鏡や望遠鏡を覗いてみましょう。
7×50程度の双眼鏡があれば、無数の星々が散らばる、3つに分かれた雲を確認できます。
おわりに
残念ながら、日本国内では限られたエリアでしか見ることのできないりゅうこつ座。
しかし、りゅうこつ座や、イータカリーナ星雲を拝んでみたいと願う天文ファンは多いのではないでしょうか。
沖縄県や南半球の国々へお出かけの際にはぜひ、心ゆくまで眺めてみてくださいね。
Special Thanks
「りゅうこつ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.145-178, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.180, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8