見ごたえ十分!古の船乗りたちに親しまれた星座みなみのさんかく座
みなみのさんかく座はその名が表す通り、南天に浮かぶ三角形を描いた星座です。
星座絵では、学校の先生が黒板に貼り付けて使う「大きな三角定規」のような姿が描かれています。
このように、ごくごくシンプルな形のみなみのさんかく座ですが、明るい星々から構成されており、とても見ごたえがあります。
みなみのさんかく座の基礎情報
星座の名前 | みなみのさんかく(南の三角座) |
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学名/読み方 | Triangulum Australe/トライアングルム・アウストラーレ |
略符 | TrA |
面積(順位) | 110平方度(83位) |
作ったひと | ヨハン・バイヤー |
おすすめの 観測時期 |
夏/7月中旬(南天) |
20時南中 | 7月13日 |
隣り合った星座 |
コンパス座 さいだん座 じょうぎ座 ふうちょう座 |
みなみのさんかく座の概要
みなみのさんかく座の特徴
みなみのさんかく座は、3つの明るい星々から成る二等辺三角形です。3つの星の中でも最も明るい星は、「アトリア」と呼ばれるα星(アルファ星)です。
アトリアは、オレンジ色が美しい恒星であり、みなみのさんかく座の中ではただひとつの2等星。アトリア以外のふたつの星、β星(ベータ星)とγ星(ガンマ星)はともに3等星で、固有名詞は持っていません。
みなみのさんかく座は、北天に輝く「さんかく座」と比較されることの多い星座でもあります。面積の広さはさんかく座に軍配が上がりますが、見つけやすさはみなみのさんかく座の方が優れています。
みなみのさんかく座は南の空の中では目立つため、船乗りたちの間では古くからメジャーな星座でした。しかし、みなみのさんかく座が一般の人々に広く認識されるまでには、アメリゴ・ヴェスプッチがその存在を初めて紹介してから100年もかかっています。
イタリアの航海者・天文地理学者であるアメリゴが、みなみのさんかく座について言及したのが1503年。
その後、オランダの航海士ケイザー(キイサー)と、冒険家のハウトマン(ホウトマン)を経て、1603年に発表された天文学者バイエルのウラノメトリア(星図書)によって、みなみのさんかく座の存在は広まりました。
みなみのさんかく座の見つけ方
みなみのさんかく座を見つける際には、ケンタウルス座のふたつの1等星が良い目印となってくれます。
ケンタウルス座の前足の先に位置する、α星のリゲル・ケンタウルス(リギル・ケンタウルス/アルファ・ケンタウリ)と、β星のハダル。
このふたつの明るい星からコンパス座のある方向に目を向けてみると、二等辺三角形を描くみなみのさんかく座が見えてくることでしょう。
みなみのさんかく座は、コンパス座を始め、じょうぎ座やさいだん座、くじゃく座、ふうちょう座など、多くの星座に囲まれた賑やかな領域で輝いています。
みなみのさんかく座の見頃は7月中旬頃、20時南中は7月13日です。とはいえ日本の空では、みなみのさんかく座の一部しか見ることができません。
しかも、その一部の姿さえも、沖縄県の石垣島や宮古島まで行かなければ観測できないでしょう。
みなみのさんかく座は、ニュージーランドやオーストラリアなど、南半球の国々に旅行した時に、じっくりと観察したい星座です。
みなみのさんかく座の見どころ
散開星団 NGC6025
NGC6025は、じょうぎ座寄りに位置するみなみのさんかく座β星の近くにある散開星団です。NGC6025の明るさは5等級、30個程度の星々から構成されています。
灯りが少ない場所からであれば、肉眼でも雲のような姿がうっすらと確認できますが、しっかりと観測するためには、双眼鏡や望遠鏡を用意した方がよいでしょう。
NGC6025の星々の様子を細かく見たい場合には、口径10cm前後の望遠鏡がオススメです。
みなみのさんかく座の神話・伝説
みなみのさんかく座には特筆すべき神話・伝説が伝わっていません。
みなみのさんかく座は見つけやすく、大航海時代が始まったころにはすでに船乗りたちに知られていたとされています。
おわりに
みなみのさんかく座は、全天の中で6番目に小さな星座としても知られています。
しかし、たとえ面積は狭くても、明るい星々とスッキリとした形を持つみなみのさんかく座の存在感はなかなかのものです。
南の国々へとお出かけの際には、ぜひ、古の航海士になった気分でみなみのさんかく座を見上げてみてください。
Special Thanks
「みなみのさんかく座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.145-178, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.204, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8