南半球の星座

天文ファンの憧れ！全天一小さく、南天一美しい！みなみじゅうじ座

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南天のシンボルとして有名な星座が、みなみじゅうじ座です。

正式名称である「みなみじゅうじ座」よりも、「南十字星」や「サザンクロス」という呼び名の方が馴染み深い、という方も多いのではないでしょうか。

日本においてみなみじゅうじ座は、観測できる場所が沖縄県などごく一部に限られていることから、「天文ファン憧れの星座」ともいえます。

みなみじゅうじ座の基礎情報

星座の名前	みなみじゅうじ（南十字）
学名／読み方	Crux／クルクス
略符	Cru
面積（順位）	68平方度（88位）
作ったひと	オーギュスタン・ロワーエ
おすすめの観測時期	春／5月下旬(南天)
20時南中	5月30日
隣り合った星座	はえ座ケンタウルス座

みなみじゅうじ座の概要

みなみじゅうじ座の特徴

みなみじゅうじ座は、88ある星座の中で最も面積が小さいものの、南の空を代表する非常に美しい星座です。

ふたつの1等星（アクルックスとベクルックス）、2等星（ガクルックス）と3等星がひとつずつ、計4つの星が十字架の形に並び、みなみじゅうじ座を形作っています。

みなみじゅうじ座の見つけ方

みなみじゅうじ座を見つけるには、「ケンタウルスの前足」を目印にするとよいでしょう。

南の夜空、天の川に浮かぶケンタウルス座。その前足部分には、α星の「リゲル・ケンタウルス（リギル・ケンタウルス）」と、　β星の「ハダル」がひと際明るく輝いています。

この並んだふたつの星は、みなみじゅうじ座の位置を示す「ポインター」と呼ばれます。

ポインターから右方向（西側）へと視線を移すと、十字を描くように並ぶ4つの星が確認できることでしょう。この4つの星からなる星座が、みなみじゅうじ座です。

ただし残念なことに、みなみじゅうじ座は本州や北海道からは見ることができません。日本でみなみじゅうじ座を見ようと思ったら、春の季節（4～6月頃）に沖縄県まで出かける必要があります。

しかも見えるのは水平線ギリギリですので、建物や高い丘などの障害物があると見えません。本気で見るなら八重山諸島まで行くのがベストですが、霞の影響でクリアに見えないこともあります。このようなレアな星座だからこそ、みなみじゅうじ座は天文ファンの憧れなのです。

グアムやハワイ、サイパン、オーストラリア、ニュージーランドなどの国々であれば、みなみじゅうじ座の美しさをより堪能できるでしょう。

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みなみじゅうじ座の見どころ

宝石箱　NGC4755

NGC4755 © ESO / 出典：ESA/Hubble

みなみじゅうじ座を形作るβ星、「ベクルックス（ミモザ）」（十字の左側の1等星）のすぐ隣に位置するのが、NGC4755という散開星団です。

NGC4755は、若く小さな星団ではありますが、その際立つ美しさから「宝石箱（The Jewel Box）」とも形容されます。

NGC4755の中央で輝くオレンジ色の星までしっかりと見たいのであれば、双眼鏡よりも望遠鏡がおすすめです。

コールサック（石炭袋）

みなみじゅうじ座の左下には、暗い穴がポッカリと開いているように見える場所があります。

この不気味な闇の正体は、「コールサック（石炭袋）」と呼ばれる暗黒星雲です。コールサックがあるお陰で、みなみじゅうじ座の明るさがより際立ちます。

コールサックとは、石炭を入れておく袋のことです。石炭袋は周囲の光をほとんど遮ってしまいますが、一部、光が透けて見える箇所もあります。

それと同じように、コールサックに例えられる暗黒星雲も、実は真っ暗闇ではなく、場所によっては背後の星々が観測できるのです。

みなみじゅうじ座の神話・伝説

みなみじゅうじ座は16世紀の終わりに、オランダの地理学者プランキウスの弟子である、ケイザーとホウトマンによって作られました。その後、ドイツの天文学者バイヤーが星表『ウラノメトリア』に彼らの星座を掲載したことで世間に広く知られるようになりました。

比較的新しい星座なので、みなみじゅうじ座にまつわる神話・伝説は存在しないのです。

おわりに

星が好きなら一度は自分の目で見てみたい、みなみじゅうじ座。みなみじゅうじ座を追いかけて、沖縄やオーストラリア、ニュージーランドなどへの旅行計画を練るのも楽しそうですね。

ただし、みなみじゅうじ座の近く（右斜め下方向）には「ニセ十字（偽十字）」と呼ばれる、みなみじゅうじ座にそっくりな星の並びも存在します。

ニセ十字は、本物のみなみじゅうじ座に比べて輝きは弱いものの、面積が大きいという特徴があります。ニセ十字に惑わされないように、ケンタウルス座のポインターを頼りにして、光輝くみなみじゅうじ座を見つけてみてください。

Special Thanks

「みなみじゅうじ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代著『星座の図鑑』（2017）: pp.145-178, 誠文堂新光社.
長島晶裕／ORG 著『星座の神々　全天88星座の神話・伝承』（1999）: p.238, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧（星座名の50音順）」（2019）: https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照：2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」（2016）: http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照：2019-7-8

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