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珍しさから星座に選ばれた空を飛ぶ魚!南半球で探そう!とびうお座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

とびうお座は、日本からは見ることのできない南天の星座です。その名の通り、海に棲む魚「トビウオ(飛び魚)」の姿を現しているとびうお座。

海の生物であるトビウオを、空に輝く星座にしようと最初に発案したのは、オランダの冒険家であるハウトマン(ホウトマン)と、航海士のケイザー(キイサー)でした。

鳥の翼のような胸ビレを持ち、海上を飛び回るトビオウの姿を、航海中に初めて目撃した時、彼らは非常に驚いたことでしょう。

塩焼きや干物、くさや、刺身からアゴ出汁まで、日本ではさまざまな調理法で「食材」としても親しまれてきたトビウオですが、当時のヨーロッパの人々にとっては、とても珍妙な生き物だったのです。

ハウトマンとケイザーによって作られたとびうお座は、天文学者バイエルの手がけたウラノメトリアによって、正式に星座として世に広められることになります。

とびうお座の基礎情報

星座の名前 とびうお(飛魚)
学名/読み方 Volans/ボランス
略符 Vol
面積(順位) 141平方度(76位)
作ったひと ヨハン・バイヤー
おすすめの
観測時期
春/3月中旬(南天)
20時南中 3月13日
隣り合った星座 がか座
かじき座
カメレオン座
テーブルさん座
りゅうこつ座

とびうお座の概要

とびうお座の特徴

とびうお座は、4等星ばかりの暗い星座ですので、夜空の中でその姿を見つけることは簡単ではないでしょう。

しかし、とびうお座の5つの星々の並びは、トビウオの頭から尻尾の付け根までのラインをよく表しており、星座の形自体は特徴的で分かりやすいといえます

とびうお座の見つけ方

南天に輝くとびうお座は、残念なことに日本からはほとんど見ることができません。南天の星座の中には、日本の南の地域であれば辛うじて見えるものもありますが、とびうお座は沖縄県まで足を延ばしても観測することは難しいでしょう。

とびうお座の姿をしっかり見ようと思ったら、グアム島よりも南の地域へと行く必要があります。日本の春、南半球の国々では秋に、とびうお座はその姿を現してくれます。

とびうお座の周囲には、りゅうこつ座の1等星であるカノープス、大マゼラン雲、ニセ十字と、メジャーな天体が揃っています。いずれも南天の見どころとも呼べる天体ばかりですので、難なく発見できるはずです。

これらの天体に囲まれたエリアに箒のような形をした星が見えることでしょう。この星座がとびうお座です。

とびうお座の見つけ方

とびうお座の周りにはさらに、カメレオン座やがか座、かじき座なども見ることができます。

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

とびうお座の見どころ

とびうお座γ星(ガンマ星)

とびうお座の中で一番明るくきらめいている恒星が、とびうお座γ星(ガンマ星)です。4等星の主星と、6等星の伴星からなるとびうお座γ星は、星座絵では「トビウオの尾の付け根あたり」に位置しています。

ふたつの星を分離して観察したい場合には、口径5cm前後の望遠鏡を用意しておきましょう。二重星を構成する白と黄色の星々がよく見えるはずです。

とびうお座の神話・伝説

とびうお座は16~17世紀に設定された、新しい星座です。そのため、とびうお座にまつわる神話・伝説はありません。

とびうお座はオランダの航海士ケイザーとホウトマンが作った南天の12星座のひとつで、1603年にドイツの天文学者バイヤーが星図に採用したのをきっかけに、その名を知られるようになりました。

おわりに

海を飛び出して夜空に輝くとびうお座の近くには、かつてのアルゴ座(アルゴ船座)と、かじき座が位置しています。

ギリシャ神話に登場する勇者たちを乗せたアルゴ船の突き進む波間を、悠々と泳ぐトビウオ。今夜の獲物にと、トビウオを捕らえようと待ち構えているかじき……。

とびうお座の周りは、そんな空想もはかどる楽しいエリアでもあります。

Special Thanks

「とびうお座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.145-178, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.214, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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