オリオン座の神話・伝説
オリオン座のモデルとなったのは、ギリシャ神話に登場する青年オリオンです。
オリオンは大きな身体を持ち、狩りが得意でした。ですが少々荒っぽい性格で傲慢な態度から、敵を作りやすい人物でした。
オリオン座の神話・伝説
狩りが得意な青年・オリオン
海の神・ポセイドンとアマゾンの女王の間に生まれたオリオンは、大きな身体に恵まれ狩りの得意な青年へと成長しました。しかし性格はすこし残念で、荒っぽい振る舞いで大きな獲物を狩っては自分は神よりも強いと豪語していました。
オリオンの求婚
ある時、滞在していたキオス島の姫・メローペを大変気に入り、オリオンは結婚を申し込みます。森の中に獅子を退治しに行った時も、素手で倒してその皮をメローペに贈りました。メローペはまだ血のしたたる皮にいい顔はしません。
「お父様。わたしはオリオンなんかと結婚したくはありません。なんとかしてください」
かわいい娘の頼みにキオスの王は、部下にオリオンを襲わせる計画を立てます。まずは酒でオリオンを酔わせ、ぐっすり眠っているところに焼け火箸を突きつけました。
オリオンは火箸で目をつぶされ、そのまま海岸に投げ捨てられます。酔いが醒め起き上がったオリオンは、目が見えなくなっていることに気づきました。体が大きく力も強いオリオンですが、目が見えなければ何もできません。
視力を取り戻す旅へ
視力を失ったオリオンは深く悲しみ、神に祈りました。その祈りは大神・ゼウスに届き、哀れみからオリオンに神託を授けます。暁の女神の朝日を浴びれば視力が回復する、という神の言葉を聞いたオリオンはすぐに旅の準備を始めました。
ゼウスは鍛冶の神・ヘパイストスの槌音をたどれと告げました。オリオンはその言葉の通りに、遠くに響く槌音を頼りに海を渡ります。ポセイドンを父に持つオリオンは海の上も歩いて移動できたのです。
「ここに暁の女神はおらん。わたしの弟子が案内するから安心したまえ」
ヘパイストスの元についたオリオンを待っていたのは朝日ではありませんでした。今度はその弟子を肩に乗せ、さらに走りました。苦労して暁の女神の元につくと、女神はやわらかい朝の光をオリオンに降り注ぎました。
「あたたかい光だ・・・。光とはこんなにまぶしいものだったか」
オリオンはこうして視力を回復させることができたのです。
狩りの友人・アルテミス
視力とともに獲物を狩る力も取り戻した彼のがんばりを遠くから見ていた女神がいました。月の女神・アルテミスです。彼女は狩猟の神であり、純潔の女神でもありました。
アルテミスとオリオンは一緒に狩りに行く仲になります。アルテミスにとってはそれが初めての恋だったのでしょう。それをよく思わないのはアルテミスの兄である太陽の神・アポロンです。
「お前は純潔の女神でもあるんだ、付き合い方を少しは考えろ」
オリオンが大きな獲物を捕っては神を冒涜していたことを伝えても、アルテミスの気持ちは治まりません。ですが、ふたりにはすぐに別れが訪れました。
オリオンの最期
オリオンは毒さそりにかかとを刺され、その猛毒で死んでしまいます。大きな体の持ち主であってもオリオンは不死身ではなかったのです。
「せめて、空の中ではかっこいい姿でいてください」
アルテミスは悲しみに暮れる中、ゼウスに頼み込みオリオンを夜の空にあげてもらうことにしました。
ですがオリオンは同じく空にあげられたさそりに怯え、さそりが沈まないと顔を出すことはありません。ただ一度姿を現せば、三ツ星の帯を締めた純潔の女神に愛される見事な姿といわれています。
おはなしにまつわる星座
- 毒さそりさそり座
- 強力な毒でオリオンを倒す。