冬の大三角に潜むユニコーンいっかくじゅう座
オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンからなる「冬の大三角形」。
その中を流れる淡い天の川に身を潜めているユニコーンが、いっかくじゅう座です。
いっかくじゅう座の基礎情報
星座の名前 | いっかくじゅう(一角獣) |
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学名/読み方 | Monoceros/モノケロス |
略符 | Mon |
面積(順位) | 482平方度(35位) |
作ったひと | ヤコブ・バルチウス |
おすすめの 観測時期 |
冬/3月上旬 |
20時南中 | 3月3日 |
隣り合った星座 |
うさぎ座 うみへび座 おおいぬ座 オリオン座 こいぬ座 とも座 ふたご座 |
いっかくじゅう座の概要
いっかくじゅう座の特徴
いっかくじゅう座は17世紀のドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスがつくって発表した新しい星座です。
その後ヘヴェリウスの星座絵図によって広く知られるようになりました。
ところが古いペルシャの天球儀にもすでにその姿が描かれていたとも言われています。もとからあった古い星座をバルチウスが再発見、紹介したというのが本当のところでしょうか。
一角獣(ユニコーン)は馬に似た想像上の動物で、額に一本の角があります。その角には病気を治す力があるとされていて、清純な乙女だけがその姿を見ることができると伝えられています。
いっかくじゅう座は、最も明るい星で4等級と暗い星ばかりの星座なので、ここに一角獣の姿を見いだすのは少々面倒かも知れません。
しかし、天の川の中にある星座なので、多くの星団や星雲があります。なかでも、バラ星雲が有名です。
いっかくじゅう座の見つけ方
いっかくじゅう座の場所は、冬の大三角形を目印にすればすぐわかります。
冬の大三角の中に横向きになっていて、頭がオリオン座のベテルギウスの方に向いています。
いっかくじゅう座の見どころ
バラ星雲 NGC2244
バラ星雲 NGC2244
大望遠鏡や写真で見ると大輪のバラが咲いたように見えるためバラ星雲と名付けられました。散開星団の星々は7×50双眼鏡でもはっきりと見えます。
散開星団 M50
M50 / 出典:タニカワプランネット
一角獣の腹の辺り、おおいぬ座のシリウスの北にある散開星団です。
7×50双眼鏡でかすかに星々が見え始め、望遠鏡ではたくさんの星が集まっているのが分かります。
ハッブルの変光星雲 NGC2261
ハッブルの変光星雲 NGC2261 © NASA/ESA and The Hubble Heritage Team (AURA/STScI) / 出典:ESA/Hubble
一角獣の頭上に位置する散光星雲です。生まれたばかりの星から噴き出すジェットの周辺が輝いている星雲です。
口径10cm程度の望遠鏡で星の像がぼんやりと彗星のように北に延びているのが分かります。
コーン星雲 NGC2264
コーン星雲 NGC2264
ハッブルの変光星雲のさらに北にある散開星団と散光星雲です。
月のない澄んだ夜空では、口径10cm程度の望遠鏡で、10個くらいの星々と背後に淡い星雲が見えます。
三重星 β星(ベータ星)
一角獣の前足で輝く三重星です。
口径6cm程度の望遠鏡で美しく輝く3つの星を見ることができます。
おわりに
一角獣(ユニコーン)は乙女にしか見えないと言われていますが、星座のいっかくじゅう座はおじさんにも見ることができます。
天文ファンとしては、一角獣の姿を見つけることにこだわるより双眼鏡を持ち出して、いっかくじゅう座の中にある星雲・星団を見て回った方が楽しいです。
Special Thanks
「いっかくじゅう座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.115-144, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.192, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8