天文ファンには人気の星座くじら座
秋の終わりから冬の初めごろにかけて、宵のうちに南の空を占めている大きな星座です。
明るい星は2等星が1つあるだけで、あとは3等星以下の暗い星座ですが、変光星ミラという天文学上重要な星があることから天文ファンの間ではよく知られている星座です。
くじら座の基礎情報
星座の名前 | くじら(鯨) |
---|---|
学名/読み方 | Cetus/ケトゥス |
略符 | Cet |
面積(順位) | 1231平方度(4位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
秋/12月頃 |
20時南中 | 12月13日 |
隣り合った星座 |
うお座 エリダヌス座 おうし座 おひつじ座 ちょうこくしつ座 みずがめ座 ろ座 |
くじら座の概要
くじら座の特徴
くじら座は全天の星座で4番目に大きい星座です。大きい星座のわりには明るい星が少なく、見つけにくい星座のひとつに数えられます。
くじら座の見つけ方
秋の大四辺形の東の辺を南に伸ばすと、くじら座のしっぽにあたるデネブカイトスにぶつかります。
ここからおうし座のプレアデス星団(すばる)の方に視線を移していくと、ゆがんだ五角形の星の並びがあります。これがくじら座の頭の部分です。
くじら座の見どころ
ο星(オミクロン星) 変光星ミラ
変光星ミラ © Margarita Karovska (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics), and NASA/ESA / 出典:ESA/Hubble
くじら座で一番の話題と言えば、くじらの心臓あたりで輝く変光星「ミラ」です。
約330日の周期で2等星から10等星まで明るさを変えます。
「ミラ」はラテン語で「不思議な」という意味があります。
渦巻銀河 M77
M77 © NASA, ESA, André van der Hoeven / 出典:NASA
変光星ミラの東、くじらの口元に位置している渦巻銀河です。
M77は「セイファート銀河」と呼ばれる特殊な銀河の仲間です。この銀河の中心には巨大ブラックホールがあると考えられています。
双眼鏡では恒星と同じように見えます。口径20cmの望遠鏡で中心部が明るくしっかり見え、その周りに渦巻の部分がかすかに見えます。
くじら座の神話・伝説
くじら座のモデルは、ギリシャ神話に登場する怪物ティアマトです。
ティアマトは、カギ爪の生えた両手を持ち、するどい歯を持つ口から海水を吸ってはけば、たちまち大津波が起こると言われる恐ろしいお化けクジラです。
海の神ポセイドンに命じられ、古代エチオピア王国を恐怖に陥れました。
おわりに
くじら座は巨大な割には明るい星が少ないので見つけにくいですが、変光星ミラやセイファート銀河など天文学的に重要な天体が多く、天文学者や天文ファンには注目されている星座です。
変光星ミラは明るい時には肉眼でも見えるので観測に挑戦してみてはいかがでしょうか?
Special Thanks
「くじら座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.79-114, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.144, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8