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ガチョウをくわえたキツネ!アレイ状星雲が見どころ!こぎつね座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

子ぎつねが、ガチョウをくわえながら一生懸命歩いている姿をした星座が、「こぎつね座」です。

かつては「ガチョウをくわえた子ぎつね座」や、「子ぎつねとガチョウ座」などという長い呼び名がつけられていましたが、時の流れとともに「ガチョウ」が消えて、単に「こぎつね座」と呼ばれるようになりました。

夏の夜空に展開される「夏の大三角」の中にありながら、明るい星がないため存在感の薄いこぎつね座。新しく設定された星座であるこぎつね座には、古来より伝わる神話もありません。

そんな寂しいこぎつね座ですが、そばには美しい姿で天文ファンの注目を集めるアレイ状星雲M27が広がっています。

こぎつね座の基礎情報

星座の名前 こぎつね(小狐)
学名/読み方 Vulpecula/ブルペキュラ
略符 Vul
面積(順位) 268平方度(55位)
作ったひと ヨハネス・ヘヴェリウス
おすすめの
観測時期
夏/9月中旬
20時南中 9月20日
隣り合った星座 いるか座
こと座
はくちょう座
ペガスス座
ヘルクレス座
や座

こぎつね座の概要

こぎつね座の特徴

こぎつね座は、お世辞にも華やかな星座とはいえません。こぎつね座を構成する星々は全体的に暗く、最も明るいα星でも4.5等星という暗さです。

ちなみにこのα星には、「アンサー(もしくは「ルキダ」)」という名前が付けられています。アンサーはラテン語で「ガチョウ(鵞鳥)」を表す言葉です。

その呼び名の通り、こぎつね座は「子ぎつねがガチョウをくわえながら歩いている姿」として捉えられています。

こぎつね座の見つけ方

こぎつね座を見つけるには、まずは有名な「夏の大三角(夏の大三角形)」を探しましょう。夏の大三角の一角である「はくちょう座」の南側に、こぎつね座は位置しています

さらにこぎつね座のすぐ近くには「や座」が、少し離れた場所では「わし座」のアルタイルが光っています。こぎつね座のおおまかな場所は、夏の大三角の中央よりも、やや「わし座」寄りの場所です

こぎつね座の見つけ方

上で述べた通り、こぎつね座には、私たちの目を引き付けるような明るい星が存在しません。そのため、街灯やネオンが数多く灯る明るい場所では、こぎつね座を見ることは困難でしょう。

こぎつね座は、周囲に明るい照明などの少ない、できるだけ暗い場所で観測したい星座です。

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

こぎつね座の見どころ

アレイ状星雲M27(惑星状星雲)

M27の写真

M27 © Steve Mazlin / 出典:NASA

こぎつね座の見どころといえば、何といっても 「アレイ状星雲(あれい状星雲/亜鈴状星雲)M27」でしょう。

大きな惑星状星雲であるアレイ状星雲M27(メシエ27)は、およそ4000年前に爆発した恒星が、命が尽きる際に放出したガスが広がっています。アレイ状星雲は、「太陽の未来の姿」であるともいわれています。

アレイ状星雲の「アレイ」は、筋力トレーニングを行う際に使用する「鉄アレイ」に由来する名称です。中央がくびれたようなアレイ状星雲の姿が、鉄アレイの形に似ていることから名づけられました。

アレイ状星雲の姿は、人によっては、蝶ネクタイや座布団、砂時計、かじりかけのおせんべいなどにも見えるかもしれませんね。「自分には何の姿に見えるだろう?」と想像するのも、アレイ状星雲を観察する際の楽しみのひとつでしょう。

アレイ状星雲は、双眼鏡でも観測することが可能ですが、口径10cm以上の望遠鏡を使えばアレイの姿がハッキリと見えるのでオススメです。

このアレイ状星雲は、その美しさから非常にファンが多い星座です。有名なアレイ状星雲が近くにあるお陰で、星座としては地味なこぎつね座も、何とか存在感を保てています。

こぎつね座の神話・伝説

こぎつね座はポーランドの天文学者へべリウスが17世紀に設定した新しい星座です。そのため、こぎつね座にまつわる神話・伝説はありません。

こぎつね座は当初「ガチョウをくわえたキツネ座」と名付けられていました。近くにわし座やはくちょう座があったので、ガチョウを仕留めたキツネをイメージしたようです。「こぎつね座」と呼ばれるようになった今でも、星座絵のキツネはガチョウをくわえています。

おわりに

その愛らしい名称とは裏腹に、明るさも形もイマイチ地味なこぎつね座。夏の夜空といえば、ついついはくちょう座やわし座、こと座などに注目しがちです。

しかし、今日のご馳走を大事そうにくわえて歩く、健気な子ぎつねの姿に、ちょっとだけ目を向けてみるのもよいのではないでしょうか。

Special Thanks

「こぎつね座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.41-78, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.196, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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