織姫星は夏の夜の女王こと座
夏の夜空の中で、最も明るく輝いているのが、こと座のベガです。
日本では昔から、七夕の織姫星として知られている星です。天の川を挟んで輝く2つの明るい星から七夕の物語が生まれました。
こと座の基礎情報
星座の名前 | こと(琴) |
---|---|
学名/読み方 | Lyra/ライラ |
略符 | Lyr |
面積(順位) | 286平方度(52位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
夏/8月頃 |
20時南中 | 8月29日 |
隣り合った星座 |
こぎつね座 はくちょう座 ヘルクレス座 りゅう座 |
こと座の概要
こと座の特徴
こと座は、古代ギリシャの竪琴をモチーフとした星座ですが、ベガはそのフレームの部分に当たります。
ベガの近くに4つの星が平行四辺形をつくっています。この部分が竪琴の弦の部分に相当します。
ベガは、日本では織姫星ですが、北欧では「夏の夜の女王」と呼ばれています。天頂近くで白く美しく輝く姿から、全天を統べる女王をイメージしたのでしょう。
小さな星座ですが、北の空に位置しているので、一年を通して夜空のどこかで見ることが出来ます。
こと座の見つけ方
こと座のベガは、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブと共に夏の大三角形を形づくっています。
ベガは、夏の大三角形のうち、天の川西側の少し離れたところで輝いています。また、ベガはデネブやアルタイルに比べて約2.5倍の明るさがあります。
ベガが見つかれば、弦の部分の4つの星は空の暗いところならすぐ見つかるでしょう。
こと座の見どころ
二重星 ε星
ベガのすぐ北側にあるε星は「ダブルダブルスター」と呼ばれています。
双眼鏡で見ると二重星に見えます。しかし、望遠鏡で倍率を上げて見るとそれがさらに2つずつの連星であることが分かります。
二重星の二重星で四重星になっているのです。
惑星状星雲 M57
M57 © NASA, ESA, and C. Robert O’Dell (Vanderbilt University) / 出典:ESA/Hubble
リング状星雲とも呼ばれ、惑星状星雲の代表格です。
小口径の望遠鏡でもはっきりとリングが確認できます。
太陽の数倍程度の質量の星が寿命を終えて放出したガスが、中心の星の光で輝いてリング状に見えます。
こと座の神話・伝説
七夕伝説
こと座のベガは七夕伝説で有名な織姫星です。
オルフェウスの竪琴
ギリシャ神話では、音楽の名人だったオルフェウスの竪琴が、こと座のモデルとされています。
おわりに
こと座のベガは七夕の織姫星でもあり、夏の星座の代表選手ですが、一年を通して夜空に輝いて見えます。
他の星座を探すときにも頼りになる星座です。
Special Thanks
「こと座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.41-78, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.110, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8