測量用の2本の定規。美しい散開星団や散光星雲が人気!じょうぎ座
じょうぎ座(定規座)は、夏に見られる南天の星座です。
18世紀にフランスの天文学者ラカイユ(ラカーユ)によって設定されたじょうぎ座は、その昔、航海士たちが測量に用いた定規(じょうぎ)の姿を現しています。
日本国内では、じょうぎ座が観測できる地域はかなり限定されるため、可能であれば南半球の国で見た方がよいでしょう。
じょうぎ座の基礎情報
星座の名前 | じょうぎ(定規) |
---|---|
学名/読み方 | Norma/ノーマ |
略符 | Nor |
面積(順位) | 165平方度(74位) |
作ったひと | ニコラ・ルイ・ド・ラカーィユ |
おすすめの 観測時期 |
夏/7月中旬(一部南天) |
20時南中 | 7月18日 |
隣り合った星座 |
おおかみ座 さいだん座 さそり座 コンパス座 みなみのさんかく座 |
じょうぎ座の概要
じょうぎ座の特徴
じょうぎ座は、淡い光を放つ小さな星々から構成されており、しかも全体的に明るい天の川の中にあるため、見つけることが難しい星座のひとつです。
じょうぎ座の中で、一番明るい星は4等星。その他は、もうひとつの4等星と、5等星以下の星ばかりです。これらの星が、アルファベットの「P」の文字、もしくは旗のようなラインを描いて、じょうぎ座を形作っています。
暗く目立たないながらも、角ばった星の並びは、定規の特徴を上手く表しているのではないでしょうか。星座絵には、まっすぐに伸びた直定規と、L字型に曲がった直角定規がクロスした姿が描かれています。
ちなみに、じょうぎ座にはα(アルファ)星とβ(ベータ)星が存在しません。これは、星座同士の境界を決めた際に、じょうぎ座のα星とβ星が、さそり座の星の一部として統合されてしまったためです。
じょうぎ座の見つけ方
日本国内でじょうぎ座の全景を見るためには、鹿児島県の奄美諸島や、沖縄県まで行く必要があります。可能であれば、ニュージーランドやオーストラリアまで足を延ばすと、天高く輝くじょうぎ座の姿を観測できるでしょう。
じょうぎ座を探す際には、夏の空の有名どころ、さそり座が目印となります。さそり座の心臓で赤く輝く1等星「アンタレス」。このアンタレスから遥か南の方角へと視線を移すと、アルファベットの「P」や旗のような形をした、じょうぎ座の星々が見えてきます。
日本では、地平線スレスレにじょうぎ座が見えますので、なるべく 開けた場所から空を見上げてみましょう。
じょうぎ座の周囲には、おおかみ座やコンパス座、さいだん座などが散らばっています。これらの星座の内、コンパス座は、じょうぎ座と同じく船乗りたちの愛用品を表した星座として知られます。
じょうぎ座の見どころ
散開星団 NGC6067
NGC6067は、天文ファンの間で人気の高い、美しい散開星団です。
華やかで大きなNGC6067は肉眼でも観察できますが、ひとつひとつの恒星の姿を楽しみたい場合には、口径12cm前後の望遠鏡があるとよいでしょう。
散光星雲NGC6164/6165
NGC6164、6165 © Gemini Obs., AURA, NSF / 出典:NASA
NGC6164/6165は、超高温の恒星「HD148937」から放たれるガスの様子が幻想的な散光星雲です。NGC6164/6165の中央に位置するHD148937は、300万年から400万年前に誕生したと推測されています。
非常に温度が高く質量の大きなHD148937の寿命は、星としてはとても短く、あと400万年前後経つと超新星爆発を起こしてその一生を終えるといわれています。
口径20cm以上の望遠鏡で観察したい天体です。
じょうぎ座の神話・伝説
じょうぎ座は18世紀にフランスの天文学者ラカイユによって作られた星座のひとつです。そのため、じょうぎ座にまつわる神話・伝説はありません。
おわりに
じょうぎ座自体は知名度が低く、決して目立つ星座ではありません。しかし、じょうぎ座が輝くエリアは、天文ファンにとって人気があります。
それは、肉眼でも見える見事な散開星団NGC6067や、超高温の星から放たれる散光星雲NGC6164/6165などが観測できるためです。
南の地域に出かけた際には、忘れずにチェックしたいエリアだといえるでしょう。
Special Thanks
「じょうぎ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.41-78, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.220, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8