わくせいじょうせいうん惑星状星雲
惑星状星雲は、寿命を迎えようとする恒星が、自らを形作っていたガスを大量に放出した後の姿である。
ガスを拡散した後の恒星は、白色矮星(はくしょくわいせい)へと姿を変える。この白色矮星から発せられる高温の紫外線の影響を受けたガスが光輝いている状態を、惑星状星雲と呼ぶ。その様子を望遠鏡で覗いてみると、多くの惑星に見られるような丸い形をしていたことから、「惑星状星雲」と名付けられた。
惑星状星雲を作る恒星は、太陽と同程度の質量を持つ。
惑星状星雲を肉眼で観察しようとしても、まず不可能である。双眼鏡で見られる天体もごく限られているため、可能な限り大口径の望遠鏡を用意しておこう。
代表的な惑星状星雲には、こぎつね座のあれい星雲(M27)や、こと座のリング星雲(M57)などが挙げられる。
代表的な惑星状星雲 こぎつね座のM27(左)、こと座のM57(右) © Steve Mazlin / 出典:NASA © NASA, ESA, and C. Robert O’Dell (Vanderbilt University) / 出典:ESA/Hubble
また、20年間という短期間のうちに、急激に温度が上昇して惑星状星雲となったスティングレー星雲(アカエイ星雲)も、天文学者や天文ファンの注目を集めている。
さいだん座の領域に存在するスティングレー星雲は、2020年現在において、観測上最も新しい惑星状星雲。気の遠くなるような宇宙の長い歴史の中では、まさに「ほんの一瞬」で惑星状星雲に変化したと考えられている天体である。
さいだん座のスティングレー星雲 © NASA,ESA,B.Balick(University of Washington),M.Guerrero(Instituto de Astrofísica de Andalucía),and G.Ramos-Larios(Universidad de Guadalajara) / 出典:ESA/Hubble