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モデルは「のみ」と「たがね」。彫刻家は必携!ちょうこくぐ座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

ちょうこくぐ座は、南の夜空の地平線近くに現れる、冬の星座です。

「ちょうこくぐ」は、芸術家が作品作りに使う道具である「彫刻具」。2本の彫刻具が、ハサミの刃のようにクロスした様子を表した星座が、ちょうこくぐ座です。

ちょうこくぐ座のモデルとなった彫刻具の種類については、「のみ(鑿)とたがね(鏨)」や「2本ののみ」、「のみと彫刻刀」など、人によってさまざまに解釈されています。

しかし、天文学者ラカイユ(ラカーユ)によってちょうこくぐ座が新設された際の名称は、「彫刻用のみ座」でした。星図には、のみとたがねを思わせる彫刻具が、リボンで結ばれた様子が描かれています。

ちょうこくぐ座の基礎情報

星座の名前 ちょうこくぐ(彫刻具)
学名/読み方 Caelum/カエルム
略符 Cae
面積(順位) 125平方度(81位)
作ったひと ニコラ・ルイ・ド・ラカーィユ
おすすめの
観測時期
冬/1月下旬(一部南天)
20時南中 1月29日
隣り合った星座 うさぎ座
エリダヌス座
がか座
かじき座
とけい座
はと座

ちょうこくぐ座の概要

ちょうこくぐ座の特徴

88星座の中で、8番目に面積の狭い星座がちょうこくぐ座です。しかもちょうこくぐ座の星たちはいずれも暗く、目立ちません。

ちょうこくぐ座の中で、一番明るい星は4等星のα(アルファ)星であり、あとは3つの5等星と、6等星以下の星々から構成されています

星の並びも、平仮名の「く」の字を左右にひっくり返したような形を描いており、この姿から「のみ」や「たがね」を想像することは難しいのではないでしょうか。

ちなみに、「のみ」は、主に木材を彫ったり、削ったりするために使われる道具。「たがね」は、木材よりも硬い金属や石材を切るために利用されることの多い道具です。

ちょうこくぐ座の見つけ方

ちょうこくぐ座の見頃は冬。20時南中は1月29日です。

ちょうこくぐ座は南天の星座ですが、日本の空でも水平線ギリギリに見ることができます。かなり低い場所に位置する星座ですので、高い建物や山などのない開けた場所で観察するようにしましょう。

また、目立ちにくいちょうこくぐ座を見つけるためには、空が澄んでいて、星がよく見える夜を選ぶことをおすすめします。

ちょうこくぐ座を探す時には、はと座とエリダヌス座を目印にするとよいでしょう。はと座は面積こそ小さいものの、「コウモリ傘」と例えられる特徴的な星の並びをしており、比較的分かりやすい星座として知られています。

ちょうこくぐ座の見つけ方

一方、エリダヌス座は夜空を流れる大河です。このはと座の3等星α星、β(ベータ)星と、エリダヌス座の中流付近で輝くυ(ウプシロン)3星、υ4星に囲まれたエリアに、ちょうこくぐ座は位置しています。

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

ちょうこくぐ座の見どころ

γ星

ちょうこくぐ座γ(ガンマ)星は、ちょうこくぐ座の中では2番目に明るい恒星です。

パッと見は、ひとつの星のように思えるちょうこくぐ座γ星ですが、双眼鏡で覗いてみると、γ1とγ2というふたつの星に分けられます。

さらにちょうこくぐ座γ1は、4.5等と8.5等の星に分離できるのですが、口径20cm前後の望遠鏡が必要です。

渦巻銀河 NGC1679

NGC1679は、いびつな形状をした渦巻銀河です。青白く輝く美しいNGC1679ですが、肉眼で観測することはできません。

NGC1679の姿を捉えるためには、最低でも口径15cm前後の望遠鏡を用意しておきましょう。

ちょうこくぐ座の神話・伝説

ちょうこくぐ座はフランスの天文学者ラカイユによって1756年に設定された、新しい星座です。

そのため、神話・伝説は伝わっていません。

おわりに

天文学者のラカイユは、ちょうこくぐ座の他にも、芸術家のアトリエをモデルにした「ちょうこくしつ座」や、絵描きさんの必需品であるイーゼルとパレットを表した「がか座」といった星座も設定しています。

当然、これらの星図に描かれているのは、芸術に関係するアイテムばかりです。

それもそのはず、ラカイユの生まれは、芸術大国であるフランスなのです。ラカイユが抱いていたであろう、自国の文化への誇りが伝わってくるようですね。

Special Thanks

「ちょうこくぐ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.115-144, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.230, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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