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長い角を持つ魚。南天の見所、大マゼラン雲も要チェック!かじき座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

かじき座は、オランダの航海士であるケイザー(キイサー)と、冒険家のハウトマン(ホウトマン)によって作られた比較的新しい星座です。

かじき座の「かじき」とは、スズキ目のマカジキ科かメカジキ科に分類される魚の総称であり、特定の魚の固有名ではありません。

そもそもかじき座は本来、カジキとは異なる種類の魚、「シイラ」の姿を現していたと考えられています。その証拠に、カジキの学名「ドラド(Dorado)」を日本語に訳すと、「シイラ」となります。

シイラがいつ、どのような理由からカジキに変更されたのか、詳しいことは分かっていません。

かじき座の基礎情報

星座の名前 かじき(旗魚)
学名/読み方 Dorado/ドラド
略符 Dor
面積(順位) 179平方度(72位)
作ったひと ヨハン・バイヤー
おすすめの
観測時期
冬/1月下旬(南天)
20時南中 1月31日
隣り合った星座 がか座
ちょうこくぐ座
テーブルさん座
とけい座
とびうお座
みずへび座
レチクル座

かじき座の概要

かじき座の特徴

かじき座は、3等星や4等星の星々から構成される、控えめな星座です。

大マゼラン雲(後述します)があることから知名度は高いものの、かじき座自体は目立つ存在ではありません。

しかし、平仮名の「へ」の字のような星の並びからは、猛スピードで泳ぐ「海の暴れん坊」カジキのシャープな輪郭が思い浮かびます。

かじき座の見つけ方

南天の星座であるかじき座は、日本の大部分では観察することができません。沖縄県の石垣島よりも南の地域であれば、かじき座の一部が見えるでしょう。

しかし、かじき座をしっかりと観測するためには、オーストラリアやニュージーランドなど、南半球の国々を訪ねる必要があります。

大マゼラン雲(大マゼラン銀河)とりゅうこつ座を目印にすると、かじき座の場所が見つかりやすいでしょう。

かじき座の見つけ方

肉眼でも白い雲のように見える大マゼラン雲と、りゅうこつ座の中でひときわ明るく輝く1等星のカノープスこの二つの天体の中央に、かじき座は位置しています

平仮名の「へ」の字を平べったくしたような、淡い光の星の並びを探してみてください。

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

かじき座の見どころ

大マゼラン雲(大マゼラン銀河)

大マゼラン雲(大マゼラン銀河)の写真

大マゼラン雲(大マゼラン銀河) © ÷ Eckhard Slawik(e.slawik@gmx.net) / 出典:ESA/Hubble

大マゼラン雲(大マゼラン銀河)は、航海中の探検家フェルディナント・マゼランによって観測された銀河のひとつです。

星座絵では、かじき座の長く伸びた上アゴ(角とも呼ばれます)の真下あたりに、大マゼラン雲が位置しています。

「万華鏡」とも例えられる美しさを持つ大マゼラン雲は、南半球に旅行した際にはぜひとも見ておきたい、主役級の天体です。

大マゼラン雲は、肉眼で確認することもできます。しかし、せっかく大マゼラン雲を見るのであれば、小型のものでよいので望遠鏡(口径6センチ前後)を用意しておくことをおすすめします。

望遠鏡があれば、大マゼラン雲の内部の星々をさらに細かく観測できますし、次にご紹介する美しい散光星雲「NGC2070 (毒グモ星雲)」の姿も捉えることが可能です。

NGC2070 毒グモ星雲

NGC2070の写真

NGC2070 © NASA, ESA, E. Sabbi (STScI) / 出典:ESA/Hubble

NGC2070は、かじき座30星雲の他、毒グモ星雲やタランチュラ星雲などとも呼ばれる散光星雲です。

大マゼラン雲の中に存在するこの毒グモ星雲の直径は、なんと1,000光年以上。非常に大きな毒グモ星雲からは、数多くの星々が生まれています。

NGC2070は、「毒グモ」や「タランチュラ」といった恐ろしげなネーミングに似合わず、赤や青、黄色に緑と、さまざまな光が入り乱れる非常に美しく幻想的な銀河です。

かじき座の神話・伝説

かじき座は16世紀の終わりから17世紀の初め頃に設定された、比較的新しい星座です。そのため、かじき座にまつわる神話・伝説は伝わっていません。

おわりに

広いおでこが特徴的なシイラから、いつの間にやら長い角を持つカジキに変わったかじき座。よく見てみると、かじき座の長い角の先には、とびうお座が淡く輝いています。

猛スピードで追いかけるカジキと、空を飛んで逃げるトビウオ。南天の空では、海の生き物たちの追いかけっこが繰り広げられているのです。

Special Thanks

「かじき座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.145-178, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.214, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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