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天文学者の愛機がモデル。日本で見るなら沖縄で!ぼうえんきょう座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

ぼうえんきょう座は、日本の空からでは見えにくい南天の星座です。

フランスの天文学者ラカイユ(ラカーユ)によって設定されたぼうえんきょう座は、その名の通り、天体観測に不可欠な望遠鏡の姿を現しています。

ぼうえんきょう座のモデルとなった望遠鏡は、ラカイユが使っていた品であるとも、パリ天文台の台長(=所長)だった天文学者ジョヴァンニ・ドメニコ・カッシーニの愛機であるともいわれています。

ぼうえんきょう座の基礎情報

星座の名前 ぼうえんきょう(望遠鏡)
学名/読み方 Telescopium/テレスコピウム
略符 Tel
面積(順位) 252平方度(57位)
作ったひと ニコラ・ルイ・ド・ラカーィユ
おすすめの
観測時期
秋/9月上旬
20時南中 9月2日
隣り合った星座 いて座
インディアン座
くじゃく座
さいだん座
みなみのかんむり座

ぼうえんきょう座の概要

ぼうえんきょう座の特徴

ぼうえんきょう座の星の並びは、細長い長方形で、片側の端(はし)がすぼまったような形をしています。この形自体は、望遠鏡の特徴をよく捉えているといってよいでしょう。

しかし、いくら形が整っていても、その星座が見つけやすいとは限りません。ぼうえんきょう座の中で一番明るく輝くα(アルファ)星は、4等星です。暗くて目立ちにくいぼうえんきょう座。探すためには注意力が要求されます

ぼうえんきょう座の見つけ方

ぼうえんきょう座は、夏から秋口にかけて日本の夜空に姿を現します。

といっても日本国内では、沖縄県、しかも宮古島や石垣島辺りまで足を延ばさなければ、ぼうえんきょう座の全景を観測することはできません。

その他の地域では、ぼうえんきょう座のごく一部しか見られないでしょう。ぼうえんきょう座を観測するには南半球の国々の方が適しているのです。

日本でぼうえんきょう座を見る場合は、地平線が見える開けた場所を選びましょう

ぼうえんきょう座を探す際に目印になるのが、いて座です。いて座の足元(南)に視線を向けると、地平線スレスレにぼうえんきょう座を見ることができます。

ぼうえんきょう座の見つけ方

さそり座の1等星アンタレスから、さそりのしっぽ(毒針)の方向に視線を移動させていく方法もあります。

星座絵 星座線 星座・恒星名 ガイド

ぼうえんきょう座の見どころ

ぼうえんきょう座δ星

一見、ひとつの星のように見えるぼうえんきょう座のδ(デルタ)星。しかし、δ星を双眼鏡で覗いてみると、ふたつの5等星から成る連星であることが分かります。

ぼうえんきょう座δ星を構成している星は、どちらも青白く輝く高温の星です。連星は「双子星(ふたごぼし)」と呼ばれることもありますが、色や大きさがそっくりなぼうえんきょう座のδ星は、まさに双子のように見えます。

球状星団 NGC6584

ぼうえんきょう座のζ(ツェータ)星の南側に見える球状星団が、NGC6584です。

口径が8cmから10cm程度の望遠鏡を用意しておくと、淡い白色に輝くNGC6584の姿を捉えることができるでしょう。NGC6584を本格的に観測したい場合には、口径20cm前後のぼうえんきょう座が必要です。

ただし残念ながら、NGC6584は東京の空からは見えません。できるだけ南の地域に行って観察するようにしましょう。

ぼうえんきょう座の神話・伝説

ぼうえんきょう座は18世紀にフランスの天文学者ラカイユが設定しました。新しい星座なので、ぼうえんきょう座はにまつわる神話・伝説はありません。

おわりに

南の夜空に輝くぼうえんきょう座。星の観測には欠かせない、天文ファンの相棒ともいうべき道具をモチーフにしたこの星座が、日本では限られた場所でしか見られないというのは、何とも寂しいものです。

沖縄県や南半球の国々に旅をした時には、ぜひ、ぼうえんきょう座のことも思い出して空を見上げてみてくださいね。

Special Thanks

「ぼうえんきょう座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.41-78, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.222, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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