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友情に厚い巨大ガニ!美しくも不気味なプレセペ星団を宿すかに座

星図 星座絵 星座線 ガイド
星座絵 星座線 ガイド

太陽の通り道に位置する「黄道十二星座」のひとつとして知られ、比較的大きな星座でもある「かに座(蟹座)」。

そんな華やかなイメージとは対照的に、実際のかに座は、それほど目立つ存在ではありません。

しかし、かに座は親友である怪物ヒュドラ(ヒドラ)を守ろうと、勇敢にもヘルクレスに立ち向かった巨大蟹「カルキノス」の姿であると伝わっています。

控えめながらも友情に厚いかに座の甲羅には、霊魂の存在と結び付けられてきたプレセペ星団が輝いています。

かに座の基礎情報

星座の名前 かに(蟹)
学名/読み方 Cancer/キャンサー
略符 Cnc
面積(順位) 506平方度(31位)
作ったひと プトレマイオス・クラディオス(トレミー)
おすすめの
観測時期
春/3月下旬
20時南中 3月26日
隣り合った星座 うみへび座
こいぬ座
しし座
ふたご座
やまねこ座

かに座の概要

かに座の特徴

かに座を構成する星々には1等星や2等星のような明るい星がなく、最も明るいβ(ベータ)星であるアルタルフでさえも、3.5等星です。

イマイチ存在感の薄いかに座の大きな目印は、甲羅の中心で青白い光を放つプレセペ星団です

かに座の見つけ方

12星座占いにおいてかに座は、6月下旬から7月にかけて生まれた人が属する星座です。そんなイメージから、「かに座を見るなら、夏の夜空でしょ?」と思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にかに座が姿を現すのは、2月から4月頃にかけてです。とはいえ、まだまだ寒い2月にかに座を見ようと思ったら、真夜中に空を見上げる必要がありますかに座の観察には、寒さのゆるむ4月の夜8時頃がおすすめでしょうか

かに座を見るには、西の空に輝く「しし座」と「ふたご座」を見つけましょう。しし座もふたご座も、明るく分かりやすい星座ですので、かに座を探す際の良い目印となってくれます。

かに座の左側には、しし座のレグルスが、かに座の右上にはふたご座のポルックス(ボルックス)が輝いています。レグルスとポルックスはどちらも1等星ですので、簡単に見つけることができるでしょう。

かに座の見つけ方

このレグルスとポルックスを直線で結んだ中間あたりに位置している星座が、かに座です。かに座の中では比較的明るい4つの星が四角形を形作り、カニの甲羅を表しています。

その中心では、かに座最大の見どころでもあるプレセペ星団と呼ばれる散開星団が輝いています。

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かに座の見どころ

プレセペ星団(散開星団 M44(NGC2632))

M44の写真

M44 © Bob Franke / 出典:NASA

プレセペ星団(プレセベ星団)は、かに座の甲羅の中心部に位置する散開星団です。あまり目立つ星のないかに座の中で、プレセペ星団はひと際私たちの目を引きます。

肉眼では、ボーッとした青白い光に見えるプレセペ星団ですが、実際にはさまざまな色をした100個程の星々から構成されています。双眼鏡(倍率7倍程度)であれば、さまざまな星が集まっていることが確認できるでしょう。

かの有名なガリレオ・ガリレイが、プレセペ星団を「いくつもの星々の集まり」と見抜くまでは、青白い光を放つプレセペ星団は「不気味な存在」として、人の霊魂と関連付けられてきました。

古代のギリシャでは、プレセペ星団を「天から降りてきて、人々の体に宿る魂の通り道」と信じられていましたし、中国では、亡くなった人がこの世に残した妖気(もしくは魂)と考えられていたのです。

しかし、かに座の不気味な光の正体が散開星団であると判明してからは、「ロバが飼い葉桶の草を食べている様子」や、「蜂(ハチ)の集団」など、生き物の活動的な様子に見立られることが増えていきました。

ちなみに「飼い葉桶」を表すラテン語が「プレセペ」であり、プレセペ星団の語源となっています。

かに座の神話・伝説

おわりに

かに座を観察するには、周囲に街灯の少ない暗い場所が適しています。

親友を助けようとして、ヘラクレスに踏みつぶされてしまった哀れな蟹は、深海を思わせる暗い夜空に隠れ住むように、ひっそりと輝き続けているのです。

Special Thanks

「かに座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。

Toxsoft: https://www.toxsoft.com/

沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
pp.9-40, 誠文堂新光社.
長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
p.40, 新紀元社.
国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
Astro Commons「星座境界線」(2016)
http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8
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