ノアが箱舟から放った鳩はと座




冬の空は冷え込めば冷え込むほどますます冴えわたって、南の地平線に近い星座も良く見えます。
うさぎ座のさらに南にあるはと座も、地上に差し掛けたこうもり傘のような星の並びが意外に明るく目につきます。
はと座の基礎情報
星座の名前 | はと(鳩) |
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学名/読み方 | Columba/コルンバ |
略符 | Col |
面積(順位) | 270平方度(54位) |
作ったひと | オーギュスタン・ロワーエ |
おすすめの 観測時期 |
冬/2月下旬 |
20時南中 | 2月10日 |
隣り合った星座 | うさぎ座、 おおいぬ座、 がか座、 ちょうこくぐ座、 とも座 |
はと座の概要
はと座の特徴
はと座は、1679年にフランスの天文学者オーギュスタン・ロワイエの星図によって正式に制定されたとされています。
ところが、1603年にドイツのヨハン・バイエルが出版した全天星図「ウラノメトリア」のなかにも鳩の姿が描かれており、このころに徐々に認められていった星座だと考えられます。
ロワイエはこのはと座を「ノアのはと座」としていましたが、隣にあるアルゴ座の船を旧約聖書のノアの箱舟に見立ててノアの箱舟に出てくる鳩の姿をここに描いたと言われています。
なお、アルゴ座は現在はとも座、りゅうこつ座、ほ座、らしんばん座に分割されています。
はと座の見つけ方
はと座は、オリオン座の足元にあるうさぎ座のさらに南にあります。
また、おおいぬ座の後ろ足の先を探す方法もあります。

ゆがんだT字型の星の並びが南に向かって飛ぶはと座の翼と胴体を表現しています。
はと座の見どころ
ランナウェイ・スター μ星(ミュー星)
はと座の尾の辺りにあるμ星は別名「ランナウェイ・スター」と呼ばれています。その名の由来は、秒速118kmでオリオン大星雲M42から遠ざかっているからです。
他にもぎょしゃ座AE星やおひつじ座53番がオリオン大星雲のある1点から飛び出してきたように運動していることが分かっています。
これは、270万年前にオリオン大星雲付近の星が超新星爆発を起こし、近くの星をはじき飛ばしたものと考えられています。
球状星団 NGC1851

NGC1851 / NASA/JPL-Caltech/SSC / 出典:NASA
はと座の西の端にある球状星団です。
冬の空に見られる球状星団としてはうさぎ座のM79が有名ですが、実は、NGC1851の方がM79より明るくて大きいのです。
星が中心部にギュッと集中しているため、口径25cmの望遠鏡でようやく星が分離して見えます。
おわりに
はと座は日本では南の空低くに輝く星座なので、1月から2月の空気の澄んだ夜に、南が開けた、空の暗い場所で探してみましょう。
Special Thanks
「はと座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.115-144, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.236, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8