さそり座の神話・伝説
さそり座のモデルとなったのは、ギリシャ神話に登場する狩人・オリオンを倒したサソリです。
オリオンは素晴らしい狩人でしたが、サソリの毒にはかないませんでした。
さそり座の神話・伝説
傲慢な狩人・オリオンに腹を立てる神々
あるところにオリオンという狩人がいました。体は大きくそして力も強い彼の狩猟能力はとても優れたものだったと言われます。
「俺に捕らえられない獲物はない!俺は誰よりも強い!!」
ライオンやクマもオリオンの敵ではありません。大きい獲物を捕まえてはいつも力を自慢していました。
獲物を捕らえるだけだったらよかったのですが、この姿に眉をひそめたのは天上の神々です。
「捕えているあの獲物たちはわたしたちが与えたもの。そのうえ我々より力を誇示するとは、なんと傲慢な男か!」
神々はオリオンを懲らしめるためにどうすればいいか相談を始めました。
サソリの毒を提案するヘラ
ここで立ち上がったのが大神ゼウスの妻・ヘラです。彼女は日々浮気に忙しい夫を懲らしめる方法に詳しく、神ではないオリオンには十分効果が期待できるでしょう。
「大サソリの毒がいいかしら」
毒ヘビや毒グモなどさまざまなアイデアの中からヘラはサソリを選びました。体の大きいオリオンから見れば小さなサソリですが、その身に宿した毒はとても強いものです。
オリオンの最期
「今日はどの獲物にしようか…。まぁ、俺に敵うものはいないが!!」
オリオンは今日も自信満々で狩りをしています。ヘラはその姿を確認し、そっとサソリを放ちました。サソリはカサカサと草をかき分けてオリオンの足元に向かっていきます。
「んあ!?なんだ、このサソリは…」
オリオンは足元をうろちょろするサソリを邪魔に思い、つぶそうと足を踏み鳴らします。
サソリは素早くその攻撃をかわしてオリオンの足元を動き回りました。そして隙ができたオリオンのかかとにしっぽの毒針をぷすりとひと刺しします。
「痛い!!」
ズドーンと大きな音を立ててオリオンは倒れます。サソリの毒はとても強く、すぐにオリオンはもがき苦しみだしました。そして全身に毒が回り、オリオンは息絶えてしまいます。
オリオンと狩りを共にしていたことのあるアルテミスだけ悲しそうな表情をしていますが、それ以外の神々はこの結果にとても喜びました。
サソリは今も夜空でオリオンを狙う
「よくオリオンを倒してくれました。あなたを空にあげましょう」
神々はサソリの功績を称え、その姿を夜空に輝かせることにしました。心に赤い炎を宿したサソリは空にあがっても生き生きとしています。
今も狙うはオリオンの命。アルテミスによって空にあげられたオリオンの姿を求めて夜空を横断します。
オリオンはもうあんな苦しいのは勘弁だと必死に逃げ、サソリが西に沈む秋になると東の空からそうっと地上に現れるようになりました。そしてサソリのいない冬の間、相変わらず自信満々でまばゆい輝きを放つのです。
おはなしにまつわる星座
- オリオンオリオン座
- 狩りの得意な青年。オリオンの死を悲しんだアルテミスとのお話も記事中で紹介しています。