見頃は秋!華やかな星座に隠れて輝くトカゲを探してみようとかげ座
秋に見頃を迎える「とかげ座」は、北の空の星座です。星座絵には、長い尻尾をクルリと丸めて、のんびりと寝そべるトカゲ(蜥蜴)の姿が描かれています。
しかし、とかげ座を構成する暗い星たちから、とかげの形を思い浮かべるには、かなりの想像力が必要かもしれません。
とかげ座は、17世紀に活躍したポーランドの天文学者ヘベリウス(ヘヴェリウス)によって設定されました。
控えめに輝く星たちを見て「とかげの鱗(うろこ)」を連想し、とかげ座を作ったと伝わるヘベリウスですが、同時に、この星座を「とかげ座」と呼ぶべきか、それとも「いもり座」と名付けるか、悩んだようです。
とかげ座の基礎情報
星座の名前 | とかげ座(蜥蜴) |
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学名/読み方 | Lacerta/ラケルタ |
略符 | Lac |
面積(順位) | 201平方度(68位) |
作ったひと | ヨハネス・ヘヴェリウス |
おすすめの 観測時期 |
秋/10月下旬 |
20時南中 | 10月24日 |
隣り合った星座 |
アンドロメダ座 カシオペヤ座 ケフェウス座 はくちょう座 ペガスス座 |
とかげ座の概要
とかげ座の特徴
とかげ座は、8個の星たちが互い違いに並び、アルファベットの「W」、もしくは「M」が連なったような形を描いています。
このように、とかげ座の形はとても個性的で分かりやすいことが特徴です。
ただし、とかげ座の星はいずれも4等星から5等星と暗く、大きさも小さいため、華やかなイメージとはかけ離れています。北の空を見上げても、とかげ座をパッと見つけることは難しいかもしれませんね。
とかげ座の見つけ方
とかげ座を見つけるためには、周りの有名な星座たちにガイドしてもらいましょう。
はくちょう座とカシオペヤ座、ケフェウス座、ペガスス座、アンドロメダ座に囲まれたエリアを探すと、中央に、小さな「W(または「M」)を描くとかげ座を見つけることができると思います。
ただし、カシオペヤ座はとかげ座と同じように、星がジグザグに並んだ「W」のような形をしているため、間違えないように注意が必要です。とかげ座に比べると、カシオペヤ座の方が大きく、明るい星も多いため、ついつい目が行ってしまうかもしれません。
とかげ座の見頃は秋、20時南中は10月24日です。とかげ座の星はみな暗いため、周囲に明かりの少ない、なるべく暗い場所で探したほうが見つけやすいでしょう。
とかげ座の見どころ
とかげ座8番星は、白っぽい輝き(肉眼で見た場合)を放つ「四重星」です。
とかげ座8番星を見つけるには、とかげ座の尻尾の当たりを確認してみてください。
望遠鏡(口径13cm前後)があれば、青白く輝く5.7等級から10.5等級の4つの星々に分離することができます。
とかげ座の神話・伝説
とかげ座は新しい星座なので、神話・伝説はありません。
とかげ座は、ポーランドの法律家で、天文学者でもあったへべリウスが、17世紀に作った星座のひとつです。
とかげ? いもり?
へべリウスの星図では、とかげ座の星座絵の近くに「とかげ(LACERTA)」「いもり(STELLIO)」と書かれています。
また、同じくへべリウスが作ったやまねこ座も、もとは「山猫または虎座」だったといいますから、へべリウスは命名に関して曖昧なところを残すのを良しとしていたのかもしれません。
おわりに
あまり目立つ星々の存在しない星座の空白地帯に、新しくつけ加えられた星座のひとつがとかげ座です。
特徴的な形でありながら、トカゲをイメージすることは難しく、暗く目立たないとかげ座は、「星座の少ないエリアに、無理やりにはめ込まれた星座」であると考えられています。
しかし、周囲の華やかな星座たちの陰に隠れるようにして、控えめに輝くとかげ座は、「臆病な個体が多い」といわれるトカゲの姿と重なります。
トカゲを探して石の下を覗き込む子どものように、双眼鏡を覗きながらとかげ座を探してみるのも楽しいのではないでしょうか。
Special Thanks
「とかげ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.79-114, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.196, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8