大きなうみへびの背に乗った小さなコップコップ座
コップ座は、うみへび座の背の上に乗っている小さな星座です。4等星以下の暗い星ばかりで構成される星座ですが、意外と目につきます。
コップ座の基礎情報
星座の名前 | コップ |
---|---|
学名/読み方 | Crater/クレーター |
略符 | Crt |
面積(順位) | 282平方度(53位) |
作ったひと | プトレマイオス・クラディオス(トレミー) |
おすすめの 観測時期 |
春/5月頃 |
20時南中 | 5月8日 |
隣り合った星座 |
うみへび座 おとめ座 からす座 しし座 ろくぶんぎ座 |
コップ座の概要
コップ座の特徴
コップといえば、円柱形をしたガラスのコップを思い浮かべてしまいます。
しかし、コップ座が表しているのは、古代ギリシャでワインと水を混ぜるために使われた器で「クラテル」と呼ばれているものです。取っ手が付いた豪華な杯のようなもので、現在でいうとトロフィーの形に似ています。
コップ座はギリシャ時代からある由緒正しい星座なので、由来にも諸説あります。酒の神ディオニュソス(バッカス)が酒を造った杯とか、王女メディアが薬草を混ぜた杯とか、英雄ヘラクレスやアキレスの杯とも言われています。
明るい星でも4等星なので、都会の空では見つけるのが難しい星座です。空の暗いところでは、台形の上に半円を描いた星の並びが整っているので探しやすいでしょう。
コップ座の見つけ方
コップ座は、おとめ座の1等星スピカ、うみへび座の2等星アルファルドを線で結んだ真ん中あたりに位置しています。
もしくは、アークトゥルス、デネボラ、スピカが作る春の大三角形から、南西方向に視線を動かしてみましょう。
コップ座は暗い星が多いですが、これらの周りの明るい星が良い目印になってくれます。
コップ座の見どころ
二重星 γ星
コップ座の台形部分で最も東にある星です。4.1等級の白い主星に9.5等級の星がくっついています。
口径8cm程度の望遠鏡で2つの星に分かれて見えます。
二重星 HR4428
コップ座の南、うみへび座との境界近くにある二重星です。
口径6cm程度の望遠鏡で2つの星に分離できます。
渦巻銀河 NGC3511
コップ座の南西のすみ付近にある淡い銀河です。
口径15cmくらいの望遠鏡で小さな光の雲に見えます。
おわりに
コップ座は小さくまとまっていて、空の暗いところでは割と目立つ星座です。
うねうね続くうみへびの上に乗った豪華なコップ(カップ)の姿を探してみるのも楽しいでしょう。
Special Thanks
「コップ座の見つけ方」に掲載している画像の背景の星図は、ToxsoftさまのStella Theater Proを使用して作成しました。
Toxsoft: https://www.toxsoft.com/
- 沼澤茂美・脇屋奈々代 著『星座の図鑑』(2017)
- pp.9-40, 誠文堂新光社.
- 長島晶裕/ORG 著『星座の神々 全天88星座の神話・伝承』(1999)
- p.92, 新紀元社.
- 国立天文台「星座名・星座略符一覧(星座名の50音順)」(2019)
- https://www.nao.ac.jp/new-info/constellation.html 参照:2019-7-3
- Astro Commons「星座境界線」(2016)
- http://astro.starfree.jp/commons/constellation/boundary.html 参照:2019-7-8