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やぎ座の神話・伝説

やぎ座のモデルとなったのは、ギリシャ神話に登場する羊飼いの神パン(パーン)です。

パンは上半身が人間、下半身がヤギの姿をしています。しかし、やぎ座の星座絵はその姿で描かれていません。

やぎ座の星座絵は、パンにとっては見るのも恥ずかしい自分の姿かもしれません。

やぎ座の神話・伝説

奇妙な姿をしたパン

下半身がヤギで上半身が人間、さらに頭に角を生やした子供が産まれました。奇妙な姿をした幼い彼を母親は置き去りにします。それを見つけた神の伝令使・ヘルメスが天界に連れ帰ると、神々はとても喜びました。

「君の存在は神すべてをよろこばす。そうだ!パンという名を授けよう!」

ヘルメスは彼に名前を授けます。大きくなると羊飼いの神としてとても立派になりました。

ナイル川で開かれた宴会

ある日、ナイル川の畔で宴会が開かれます。天上の神々がその宴会に集まり、太陽と音楽の神・アポロンが琴を弾き音楽の女神・ミューズたちが舞い踊りました。パンもその宴会に参加することになります。

「得意の笛を聞かせておくれよ」

「いいよ!みんな楽しんで!」

神のリクエストに応えるように陽気なメロディーを奏でるパンに、琴を奏でていたアポロンも合わせます。音楽の神との共演なんてこれほど光栄なことはありません。パンはいつも以上に張り切って笛を吹きます。

怪物・テュポンの襲来

そうして神々が酒や歌や踊りを楽しんでいるところに、突如大きな怪物・テュポンが現れました。テュポンは大地の神・ガイアが生み出した怪物で、その力は神ですら命を落としかねないほどの強さです。

アポロンが琴の演奏をやめると神々は事の重大さに気づき逃げまどいました。

大神・ゼウスは鳥に姿を変え大空に逃げました。川の近くを散歩していた美の女神・アフロディーテと息子・エロスは魚に姿を変えて、はぐれないようリボンで互いの尾を結びます。アポロンも華麗に魚に姿を変えてナイル川に飛び込みました。

笛を一生懸命吹いていたパンはテュポンに気づくことが遅くなってしまいました。たくさんの頭を持っているテュポンの目のひとつがパンを捕らえます。口から火を吐きながらゆっくりとパンに近づいてきます。

「ぎゃあああああ!逃げなきゃ!おれも逃げなきゃ!!」

慌てたパンの変身

パンは慌てふためきながら早くその場から逃げようと急いで変身します。ですが早く走らなければ捕まってしまうという思いと、他の神々のように近くのナイル川に逃げ込もうという思いが混乱してしまったのです。

その変身した姿はなんと上半身がヤギ、下半身が魚というとても奇妙なものでした。命からがらナイル川に飛び込むことのできたパンは、なんとかテュポンの恐怖から逃げ延びることができたのでした。

あまりにも滑稽な変身姿に神々は大いに笑いました。ゼウスは面白がってこの姿のパンを星座にしてしまうほどです。ヘルメスが名付けた通りにパンはすべての神々を喜ばせる存在になりましたが、本人は生きた心地がしなかったことでしょう。

秋の空を見上げるとパニック状態の羊飼いの神が、急いで天の川に逃げ込もうとしています。

おはなしにまつわる星座

ナイル川の宴会での出来事は、他の星座の神話でも描かれています

アフロディーテと息子・エロスうお座
ナイル川の宴会に参加し、川の近くを散歩していたところでテュポンが現れます。
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