ぶらっくほーるブラックホール
「ブラックホール」は、非常に強い重力を持った天体の一種である。太陽の30倍以上という大質量の恒星(自ら熱を出して光る星)が寿命を迎え、爆発を起こすことで、ブラックホールが形成される。
ブラックホール(black hole)を日本語に直訳すると「黒い穴」となるが、実際には「穴」ではなく「星」であることに注意したい。
ブラックホールはその桁違いの重力で、近付くものを全て引き込み、光の脱出さえも許さない。
もしも人がブラックホールに吸い込まれたとしたら、「細長いパスタのように体が引き伸ばされる」、「ふたつの体に分裂(分身)する」、はたまた「他の時空に移動する」などとさまざまな説が考えられているが、推測の域を出ていない。ブラックホールの内部は未知の領域なのだ。
ブラックホールの強い重力の源となっているのが、中心部に存在する「特異点」だ。特異点は、物質がギュッと圧縮された結果生まれた、大質量・超小型な「点」のような存在である。
重力というのは、そのものの質量が大きければ大きいほど、そして半径が小さければ小さいほど強くなる。例えば、地球を半径1cmほどの小ささに圧縮したとしたら、強力な重力を持ったブラックホールができあがるだろう。
長いこと、その存在すらも謎だったブラックホール。研究者たちの間では、「理論上、ブラックホールは存在する」と信じられてはいたものの、人類はなかなかその姿を目にすることができなかった。 光さえも閉じ込めてしまうブラックホールは「真っ黒い」天体であるため、観測がとても難しいのだ。
ブラックホールが実在するという証拠が見つかったのは2015年。ふたつのブラックホールが合体することによって生み出された波(重力波)が、初めて観測された。 さらに2019年には、ついにブラックホールの姿が撮影された。
EHTで撮影したM87中心ブラックホールの画像 © EHT Collaboration
人々に広く知られているブラックホールだが、その存在が証明されたのはごく最近の出来事なのである。